2018.11.22

鬼門を乗り越えた錦織圭は
「ケガの少ない身体」になりつつある

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 今シーズンの最終戦であるATPツアーファイナルズが開幕する直前、『ニューヨーク・タイムズ』紙に「男子テニス界のベストショットの持ち主は誰?」と題された記事が掲載された。

 これは同紙が10名の現役選手と、コーチや解説者ら25名の関係者を対象に行なったアンケートを集計したもの。それら計35名の”エキスパート”には、「サーブ」「フォアハンド」などのショット別に、現時点でのベストと思われる選手の名を3名ずつ記してもらったという。

全米オープン後に戦った試合数はトップ10選手のなかで最多だった錦織圭 結果、錦織圭は「両手バックハンド」でノバク・ジョコビッチ(セルビア)に次ぐ2位に選出。 「リターン」では4位、さらには「動きのいい選手」でも4位につけた。

 昨年8月に、右手首の腱を痛めて戦線離脱を強いられた錦織は、今年1月末、約6カ月ぶりにコートに帰還を果たした。しかし復帰初戦は、ツアーの下部大会である「ATPチャレンジャー」で、ランキング200位台の選手に苦杯をなめさせられる。

 その後、チャレンジャー大会での優勝はあったものの、試合勘の欠如やボールを鋭く打ち抜くかつての感覚が戻らず、もどかしい日々を過ごした。

 その葛藤のトンネルに光が射したのが、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)やマリン・チリッチ(クロアチア)らを破り準優勝した、4月のモンテカルロ・マスターズ。つまりは、本人が「もう復帰過程とは言えない」と宣言したこの時からの7カ月間で、錦織は再び対戦経験もある選手やコーチ陣からの高い評価を獲得したのだ。なお、上記3部門でのランキング入りは、全体で5位タイである。

 モンテカルロ・マスターズ準優勝に、全米オープン・ベスト4……。数々の印象的な熱戦と戦績に彩られた復帰のシーズンで、ひとつ象徴的な大会を挙げるとすれば、それは初のベスト8入りを果たしたウインブルドンではないだろうか?