錦織圭の2018年を振り返る。今季のデータが「復活」の何よりの証だ

  • 神 仁司●文・撮影 text&photo by Ko Hitoshi

最終戦は苦戦を強いられたが、来季はもっと強い錦織圭が戻ってくるだろう最終戦は苦戦を強いられたが、来季はもっと強い錦織圭が戻ってくるだろう 錦織圭は、ATPファイナルズでベストなプレーができなかったことを悔やんだが、2年ぶりに世界最高峰の舞台に戻って来られたことをあらためて誇りに思っていた――。

 男子テニスツアー最終戦・ATPファイナルズのラウンドロビン(総当たり戦)のレイトン・ヒューイットグループは、第2戦が終了した時点で準決勝進出者が誰も決まっていなかった。

 第7シードの錦織(ATPランキング9位、11月12日づけ/以下同)は1勝1敗で、準決勝に進出するためには勝利することが最低条件だったが、ストレートで勝つかフルセットで勝つかによって状況が変わり、さらにもう一つの試合結果によっても左右される複雑な状況であった。

 第3戦の対戦相手である第6シードのドミニク・ティーム(8位、オーストリア)とは、今季1勝1敗。直近の対戦である10月のATPウィーン大会準々決勝では、錦織がストレートで勝っていた。

 また第2戦で、第4シードのケビン・アンダーソン(6位、南アフリカ)に対して24回のミスをして、0-6、1-6で敗れた悪夢から、錦織がどう立て直してくるかも注目だったが、残念ながら修正は難しかった。

 第1セット第5ゲームで、錦織はブレークポイントを4回つかむが取ることができず、これがほとんど唯一の見せ場で、それ以降はまったくいいところなく、1-6、4-6で敗れた。

「ほぼ試合にならなかったというか、ミス(のタイミング)がすごく早かった」と振り返った錦織は、フォアのミス16本とバックのミス19本を含む合計41回のミス。「ここまでミスが多いのは初めてかもしれない」と言うほどの自らの不甲斐ないプレーに錦織は怒りを隠せず、ラケットをコートに叩きつけるシーンもあった。

 錦織は、ラウンドロビンを1勝2敗で終え、ティームとは勝敗数で並び、セット勝率も同じだったが、ゲーム勝率でティームが錦織を上回り、結局錦織はグループ4位。準決勝へ進出することはできなかった。

 錦織はファイナルズの出場権を獲得するため、シーズン終盤の大会で全力を出し続けていた。その疲労がロンドンでのプレーに影響したのか、トップ選手を相手にややエネルギー不足だったのは否めないだろう。

「正直、まったく納得できない。内容的には3試合ともそんなによくなかった。最後まで感覚がつかめず終わりましたね。今週は葛藤の一週間でしたけど、その前はすごくいいプレーができていた。今年1年頑張って、ここまで来られたことは、奇跡のようなところもあるので、そこは我ながらすごく評価しています。ただ、あまりいい終わり方じゃなかったですね」

 こう語った錦織にとって、理想的なシーズンのエンディングではなかったかもしれないが、昨年の右手首のケガから復帰した2018年シーズンの最後にファイナルズの舞台に立てたことは、錦織の状態がトップフォームに戻ってきた証しだろう。

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