錦織圭の2018年を振り返る。今季のデータが「復活」の何よりの証だ (2ページ目)

  • 神 仁司●文・撮影 text&photo by Ko Hitoshi

 もちろん、ファイナルズ出場までの道のりは平坦なものではなかった。今季、錦織のリスタートは、1月のATPチャレンジャー大会から。右手首に不安を抱えたまま、なかなか調子が上がらず、4月上旬にはランキングが一時39位まで落ちた。

「痛みがありながら、(100%で)フォアを打てずに決勝までいった」と錦織が振り返るマスターズ1000(以下MS)・モンテカルロ大会では準優勝を飾り、そのあとのクレーシーズンで少しずつ調子が上向き始めると、復活の狼煙を上げた。

 錦織は、試合中の手首の痛みや、ケガが再発するかもしれない恐怖とも戦い続けた。また、サーブのテークバック時に、ラケットを体の近くにセットしてフォームをコンパクトにしたり、両足を固定するなどしてサーブを改良した。28歳のプロテニス選手がプレー技術に手を加えることは決して簡単なことではない。さらに、サーブのルーティーンも変更して、ボールを1球ずつ受け取ってファーストサーブとセカンドサーブを打つようになった。

「いろいろ乗り越えた1年だった。ケガもそうだし、メンタルもそうだし、体が強くなって痛みが出なくなったことも例年にはなかったこと。乗り越えたというか、よくなったこともたくさんあったと思います」

 さらに、ベスト4に入った9月のUSオープンが、ターニングポイントになった。

「USオープンでいいテニスができたことが一番大きな自信になった。USオープンの後から、やっとテニスが安定してきた」

 そこから錦織の快進撃が始まり、ATPメス大会(フランス)でベスト4、ジャパンオープンで準優勝、MS上海大会でベスト8、ATPウィーン大会で準優勝、MSパリ大会でベスト8と、安定した成績を残してトップ10に復帰。そして、2年ぶり4回目となるファイナルズの出場権を獲得した。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る