大坂なおみ名言集。4年間の軌跡を
振り返って見えてくる人間性 (3ページ目)
「セリーナが、ドローの同じ山にいないー!」
2016年全豪オープンで予選を突破し、グランドスラム本戦初出場を果たした大坂。そんな彼女が本戦のトーナメントドローを見たとき、真っ先にチェックしたのが憧れのセリーナ・ウィリアムズの名。そして、セリーナとドローの同じ山には予選突破者が入らないことを知り、悲しみの声を上げた。
「細かいことを聞くのね? 私にとっては、ハードコートはハードコートよ。何も文句はないわ」
2016年のマイアミ・オープン2回戦では、大会第14シードのサラ・エラーニ(イタリア)を圧倒。その試合後、「このコートは他のハードコートに比べて高く弾むのか?」「自分のプレースタイルに合っていると思うか?」と聞かれた大坂は、それら細かいことを気にする記者たちを、小首をかしげ不思議そうに見つめていた。
「経験は大切だけれど、経験が勝敗を分けるわけではない」
2016年の全米オープン3回戦で最終セット1−5とリードしながら、追い上げられて「パニック」になり、敗れた大坂。試合後、まだ涙の痕(あと)を残す彼女は、「勝者と敗者を分けたものは経験か?」と問われると、「本当に優れた選手は、経験がなくても勝てる」と答える。その2年後......グランドスラムで自身初のベスト8に進出した彼女は、そこから先の未体験ゾーンを一気に駆け抜け、自らの言葉を実践してみせた。
「だって『2年後』とか言ったら、まるで、今すぐにでも勝つ力はあるのに、来年にはまだ優勝したくないと思っているようじゃない? 私は、そうではない。可能なかぎり、早く優勝したいと思っているんだもの」
2年前のこの時期のインタビューで、「いつグランドスラムで優勝したい?」と尋ねたら、「来年!」と即答。その結果として、実際には2年後に優勝したのは、どこか予言めいてもいる。
「試合が終わったときに、セリーナに私が何者だか知っていてほしかった」
今年3月末、マイアミ・オープンで初めてセリーナ・ウィリアムズと対戦して勝利した後。彼女が試合中に考えていたことは、憧れの人に自らの存在を知ってもらうことだった。
それから約5ヵ月後――。大坂なおみの存在は一層強い衝撃とともに、セリーナの胸に刻まれた。
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