大坂なおみ名言集。4年間の軌跡を振り返って見えてくる人間性 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

「興奮しすぎてはいけないと思った。これが自分のベストプレーだと思いたくなかったし、観ている人にも、そう思われたくなかった。私のベストは、もっと先にあると感じたかったの」

 これも前述の一戦で、ストーサーに勝ったときの心境を振り返った言葉。勝利時に派手に喜びを表出しないのは、今も16歳の時も同じ。ただ、その理由はその時々で異なったり、彼女の立場の変遷に伴い、変移してもいるだろう。

「大阪で生まれた人は全員、オオサカさんになるのよ」

 ストーサー戦後の会見で、「苗字と出身地が同じなのは偶然か?」と聞かれたときの返答。今回の全米オープン優勝時にも同じ質問をされたとき、「2014年のジョークのリサイクルをするわよ」と前置きして同じ返答をしたが、その元ネタがこのときだった。

 人生最大の記者会見で、小さな声で質問に答えるシャイな少女が、このひと言で居合わせた関係者たちの心を掴んだのは言うまでもない。

「無茶をしない。我慢をする」

 2015年4月に、岐阜で開催されるツアー下部大会のカンガルーカップ国際女子テニスに出場した大坂。決勝まで勝ち上がった彼女が当時コーチから繰り返し言われたのが、「攻めるときと、耐えるべきときを見極めること」だったという。

 これはその後もしばらく、コーチが変わっても引き続き指摘され続けてきた課題だ。今季からコーチに就任したサーシャ・バジンも同じ点を指摘しつつ、「こればかりは、選手が自分で経験のなかから学ぶしかない。『時速70マイル以上のボールが来たら守り、それより遅ければ攻めろ』というような教え方ができるものではない」とも言っていた。

 そして今年の全米オープン――。4回戦の対アリナ・サバレンカ(ベラルーシ)戦で最終セット終盤の行き詰まる攻防を制した大坂の姿に、バジンは「自分で我慢するとき、そして攻撃の引き金を引くときを見極められるようになっていた。試合のなかでも彼女はそのことを学び、適応していた」と喜んだ。

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