錦織圭のいる場所に。東京五輪と
世界50位を狙う、19歳と20歳 (3ページ目)
今年の全日本選手権を制した20歳の高橋悠介「去年の陽介がプレッシャーを感じていたのはわかっていた。周囲が彼に注目していたのも感じていたので、今までどおりやるのは難しいんだろうなと思っていました」
落ち着いた声のトーンで、高橋が述懐する。
1歳年少のライバルが全日本のタイトルとともに抱え込んだ重圧は、彼の目にはっきり見えていた。だからこそ、「正直、去年の陽介みたいになりたくないなという思いはありました」と、今年の全日本チャンピオンは精悍な相貌(そうぼう)を引き締める。「実際には、陽介のときほど注目された感じもなかったんですけれどね」と、謙遜の言葉も素早く添えて......。
高橋が全日本優勝後もそれほどプレッシャーを感じずに済んだのは、彼がすでに戦いの軸足を世界へと移していたことも大きいだろう。今季を世界ランキング423位で迎えた高橋は、半年後にはその地位を200位台まで上昇させ、以降はATPチャレンジャー(ATPツアーの下部大会群)およびツアーを中心に転戦してきた。そのなかで、自分と年齢もランキングもさほど変わらぬアジアの選手たちがツアー大会のベスト8に勝ち上がる姿も目の当たりにする。
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