2017.11.19

錦織圭のいる場所に。東京五輪と
世界50位を狙う、19歳と20歳

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 1年前に錦織圭は、まだ少年のあどけなさを全身にまとう18歳を、「日本でトップレベルのフォアを持つ選手」と評した。

 偉大なる先輩から最上級の賛辞を送られたティーンエイジャーは、その評価が正しいことを証明するかのように、昨年10月に大阪市開催の世界スーパージュニアを制すると、11月の全日本選手権でも頂点へと駆け上がる。18歳にして日本王者の肩書きをも得た綿貫陽介は、たしかに誰もが認める「日本テニスの未来」であった。

錦織圭から賞賛された19歳の綿貫陽介 それから、1年――。現在世界ランキング300位台につける19歳は、この12ヵ月間背負い続けた”全日本チャンピオン”のタイトルは「重荷だった」と告白する。テニス一家に育った三兄弟の末っ子は、生来どこか目立ちたがり屋で、人目を意識するたちなのだろう。

「そんなに見られているはずはないのに、皆が自分を見ているような気になっちゃって」

 単なる自意識過剰なんですけれどね……そう言うと、黒目がちな眼を細め、照れたように首を傾(かし)げる。

 日本テニス界のホープとして期待されているとの自覚は、「誰からも認められる、プレーもコート上の態度も”キレイな選手”」を彼に志向させた。だがそれは、感情を表に出して闘志を高め、時に泥臭く戦う彼のテニスとは、本質的にかけ離れている。よそ行きのプレーでは、結果もなかなかついてこなかった。