錦織圭のいる場所に。東京五輪と
世界50位を狙う、19歳と20歳 (2ページ目)
そんな息苦しさのなかで戦っていた彼は、今年6月に迎えたひとつの対戦での勝利をキッカケに、「自分はやっぱり、周りの目を気にせずに自由にやっていこう」と思えたのだと言う。その試合の相手は綿貫より1歳年長で、彼が「キレイなテニス」を標榜したときに、真っ先にお手本として頭に浮かんだ選手であった。
「悠介君みたいに、どのショットもキレイに打てて穴がなく、コート上のマナーもいい選手を目指してたんですが......俺には無理だなって」
綿貫が羨望にも似た視線を向ける「悠介くん」こと高橋悠介は、ジュニア時代から国内のタイトルを総ナメにしてきた、いわばエリート。その相手に「自分のテニス」で勝ったことが、綿貫を呪縛から解き放つ契機となる。
さらに高橋は今年11月、20歳の誕生日を迎えたわずか10日後に全日本選手権を制し、綿貫が背負ってきた王者の看板をも引き取った。
「これで重荷も、悠介くんに全部託せます!」
昨年の全日本チャンピオンは、顔中に無邪気な笑みを広げた。
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