激闘の錦織圭が、グランドスラム制覇に「あと少しだけ足りないもの」 (3ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi


「ここまで来られたのは、すごく自信にはなります。特に今1、2番に強いマリーを倒して、ここまで来たので。多少言い訳にはなりますけど、(マリーと)5セットをやっていなかったら、もうちょっと元気に戦えていましたし、もちろんドロー運もあるので何とも言えないですけど......。こうやって今日も多少なりチャンスがありながら戦えた。最近トップの選手に勝てるようになってきているので、もっともっと自信を持って戦っていきたいですね」

 実は、今まで錦織はUSオープンで、トップ10プレーヤーと対戦して負けたことがなかった。2008年3回戦ダビド・フェレール(当時4位)、2014年4回戦ミロシュ・ラオニッチ(6位)、同年準々決勝ワウリンカ(4位)、同年年準決勝ノバク・ジョコビッチ(1位)、2016年準々決勝マリー(2位)と、このように強敵に5連勝していて、ニューヨークでは1位と2位から勝利を挙げるという日本男子選手としての快挙を成し遂げた。

 今回ワウリンカに記録を止められてしまった錦織だが、そこで課題となるのは、トップ3を連破する力が足りないことだ。マリー戦での錦織は持っている実力を最大限に出した、いわば"フルパワー錦織"だった。だが、フルパワーのプレーは、当然体力もメンタルも大きく消耗するため、5セット1試合は戦えても、なかなか連続でプレーするのが難しい。逆に今回は、故障が起こらずに済んでよかったとも言える。

「フィジカル的にはもっと強くなりたいという気持ちがありますけど、(マリー戦で)あれだけの4時間もの試合をしてしまったので、なかなかドーピングしない限りは、(回復は)難しい」

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