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2015年総括。クルム伊達公子はどこに向かっているのか? (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by AFLO

 それら試行錯誤と迷いの日々のなかで、クルム伊達のテニスは時おり、まばゆい光を放ち世界を驚かせる。7月の北米スタンフォード大会では、予選で日本期待の若手・大坂なおみを破り本戦へ。本戦の初戦では、一昨年のウィンブルドン準優勝者にして、世界24位のサビーネ・リシキ(ドイツ)相手に1-6、7-6、6-2の大逆転劇を演じてみせた。

「あのリシキ戦だけが大きいというわけではないですが、その前にITF(下部レベル)の大会でそれなりに試合数をこなせたのが、スタンフォードにもつながった。予選を2試合もやり、試合数をできたことが大きかった」

 1試合の勝利を“点”ではなく、今後の道を示す“線”としてとらえるあたりに、彼女の決意や勝負哲学が浮かびあがる。

「1月は全豪の本戦に入ったとはいえ、身体が疲れて気力も沸いてこないなかで、どうやって気持ちを奮い立たせようかと思っていた。それを思えば、春先のケガを乗り越え、今はどこまで自分の身体ができるのかと思えるようになった。身体が元気であれば……自分の気持ちとかみ合えばまったく無理じゃないと、まだ思えている。もう少しできるという手ごたえのほうが、自分としては勝利よりも大きかった」

 9月の全米オープンを終えた時点で、彼女はそう振り返った。

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