コーチが分析。「錦織圭の好調を支える3つの要素」 (2ページ目)
今季ここまでの錦織の好調を支えている3つの要素がある。
ひとつ目は、昨年のクレーシーズンから、チャンコーチの指導によって会得した「攻撃時にベースランからステップインして打つストローク」だ。これは、今回のローランギャロスでも実に効果的だった。「クレーでも、どんどん打っていける。ウィナーも取っていける。特に、クレーで中に入っていけるバックは有効に感じている」と錦織は自信を深めていた。
錦織を指導するマイケル・チャンコーチ(左)とダンテ・ボッティーニコーチ ただ、チャンコーチは、次のような点を指摘している。
「フットワークもバウンドもクレーでは他のサーフェスと違うのでアジャスト(適応)しなければいけません。クレーでのゲームはチェスのようなもので、ボールを打つ時にいろいろ対応しなければいけないのです。時には突然遅いサービスを打ったり、必要に応じて突然ハードヒットすべき」
ふたつ目の要素としては、クレーシーズンで攻撃的なプレーができていた要因である、錦織の充実したフィジカルが挙げられる。昨年の全仏では、春に痛めた左足股関節の炎症や、でん部や左足ふくらはぎのケガが100%回復しないまま出場に踏み切り、初戦で敗れていた。
それを教訓に、今年の錦織は4月からのヨーロッパクレーシーズンが始まる前に、かなり追い込んでトレーニングを積んで準備し、遠征中にもトレーニングを継続させている。
「体は強くなっていると思います。短期間で作られる体ではない。リハビリなど、細かい捉え方も変えてきているので、そうした細かい部分が生きてきて、今の強い体ができ始めていると思います」(錦織)
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