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全仏オープン開幕。錦織圭が3度目の対戦で見せた「格の違い」 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by AFLO

「今年が、最後の全仏オープンになるかもしれない」

 開幕前に引退の可能性をほのめかしていた33歳のベテランは、地元ファンの大声援を追い風に、チャレンジャーとして錦織に向かってきた。第2セットでは、全盛期を彷彿とさせる強打を次々に叩き込み、錦織のサービスゲームを2度もブレーク。しかし、大会第5シードはその度に、堅牢な守備と重いスピンを掛けたフォアで、相手に傾きかけた流れを断ち切る。最後は勝負どころの第12ゲームをブレークし、追いつ追われつの第2セットを錦織が取りきった。

 2セットを先に奪われては、もはやマチューに抗(あらが)う力は残っていない。第3セットは、錦織の独壇場だった。第4ゲームでは左右に強打を散らすマチューの猛攻をすべてしのぎ、前掛かりになった相手の頭上をロブで抜いてブレーク。胸をそらし、誇らしげな顔でガッツポーズを掲げる錦織を横目で見やりつつ、33歳のベテランは肩を落とし、敗北を悟ったように首を振った。

「2セット目の最後など、大事なゲームで集中力を高めてプレーできた」

 表情を変えずに淡々と盤石の勝利を振り返る世界5位は、3年前のマチューとの対戦のことは「あまりよく覚えていない」と言う。

 一方のマチューは、「3年前と比べると、彼(錦織)はものすごく成長している」と称賛を惜しまなかった。「もっとも、ここ数年の彼のプレーは、ほとんどテレビで見たものだけどね。だって僕は、彼と同じコートにはあまり立てなかったから」

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