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シンプルながら重みに満ちた、錦織圭25歳の所信表明 (3ページ目)

  • 内田暁●構成 text by Uchida Akatsuki   photo by AFLO

 錦織はそこまで言うと、はたと何かに気がついたかのような表情になり、「あんまり言うと、当たりそうなので……」と苦笑いして、話題を自ら切り上げた。それでも、未来を担う若手集団として、ともに歩んできた1歳年長のライバルには特別な思いもあるのだろう。「彼にも、早く上に上がってきて欲しいです」。その言葉には、深い実感がこもっていた。

 そんな様々な話題性が散りばめられた全豪オープン開幕が、いよいよ間近に迫ってきた。

 世界の5位から眺めるグランドスラムの景色は、その目にいつもと違って映っているだろうか? 20代の折り返し地点で立つ戦地の空気は、過去とは異なる刺激を彼に与えるだろうか?

 ここは例年と同じ会場で、主役たる選手の顔ぶれにもほとんど変わりはない。だが、今年のメルボルンで綴(つづ)られる物語は、何もかもが新しく、とてつもない胸の高鳴りを見る者たちに運んでくれる。
 
 「年齢を重ねるにつれ、一日一日の大切さを実感する」のだと、錦織圭は言う。だからこそ、25歳の所信表明は、シンプルながらも、重みに満ちたこのひと言で十分だ。

 「より良い、1年にしたいと思います」

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