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明大のNo.8として3度の大学日本一、高橋一聡はなぜ東大へ向かったのか 対抗戦Aグループ復帰を目指す静かな闘い (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta

「たしかに頭がいいなと思う部分はたくさんあります。でも、じゃあ、それがラグビーにつながるのかというところは、まだ僕のなかでも整理できていません。ただ感じているのは、インプットしたものを記憶することには長けているけど、それを使って新しいものを生み出すところに長けているわけではない。ラグビーでは教わったことができるようになることよりも、新しいものをつくり出そうとすることのほうが役に立つんです。

 だから東大に入ってラグビーを選んでくれた彼らには、ラグビーに触れなかったら得られない創造力を身につけてほしい。そのためには東大の選手たちの能力を生かそうとするのではなく、東大の選手が持っていない、今の能力以外のところを僕が提示できたら、彼らは僕の想像を超えてくると思っています」

 東大は5月の八幡山での明大との定期戦に0−104で大敗を喫した。その後も6月の立大戦に5−93、7月の早大戦も7−78で敗れた。ディフェンスが崩れて明、立、早に歯が立たず、9月に開幕する対抗戦を前に、チームは一聡が思い描くようには前へ進まない。8月は慶大との定期戦を残すのみとなっていた。

 その試合を前に、ラグビー部内である事件が勃発する。キーワードは「現場」──そう、事件は現場で起こったのだ。

つづく>>

著者プロフィール

  • 石田雄太

    石田雄太 (いしだゆうた)

    1964年生まれ、愛知県出身。青山学院大卒業後、NHKに入局し、「サンデースポーツ」などのディレクターを努める。1992年にNHKを退職し独立。『Number』『web Sportiva』を中心とした執筆活動とともに、スポーツ番組の構成・演出も行なっている。『桑田真澄 ピッチャーズバイブル』(集英社)『イチローイズム』(集英社)『大谷翔平 野球翔年Ⅰ日本編 2013-2018』(文藝春秋)など著者多数。

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