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【ラグビー日本代表】リーチ マイケル「ブライトンの奇跡」あの決断を振り返る 10年経った今も「トライを取りにいく」 (2ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

【南アフリカを焦らせる作戦】

 16時45分にキックオフされた南アフリカ戦は、FB五郎丸歩のペナルティゴールで幕が開く。そのあとにトライを許すものの、29分にラインアウトからモールを組み、リーチがトライを決めて10-7とする。32分にトライを喫し、前半は10-12で折り返した。

「試合の展開は、想定していたとおりでした。スコアを大きく離されないように意識していて、10点差以内で進めていこうと」

 後半も、五郎丸のペナルティゴールが試合を動かすスイッチとなる。ほとんどの時間でリードを許すものの、スコアが10点差以上開くことはない。69分には五郎丸のトライとコンバージョンで、29-29の同点とした。

「南アフリカの選手たちは、日本に負けるとは思っていなかったはずです。どんなに下手くそな試合をしても、絶対に負けないと思っていたに違いない。スタジアムにいた人たちも、日本が負けると思っていたでしょう。たぶん100パーセントの人が、そう考えていたんじゃないかな。日本がいい勝負はするかもしれないけれど、勝つのは南アフリカだって、みんな考えていたでしょう。

 ただ、当時の南アフリカの傾向として、焦るとやったことのないようなことをする──というのがあったんです。練習でやっていないような、らしくないプレーをする。まさにそういう展開になって、自分たちは練習したことをどんどん出していきました」

 29-32で迎えた後半終了間際、日本のスポーツ史にとって歴史的な決断をリーチが下す。3点ビハインドの状況でペナルティを獲得すると、ペナルティゴールで同点を狙うのではなく、スクラムを選択してトライを奪いにいったのだ。

 ヘッドコーチのエディ・ジョーンズは、ペナルティゴールを指示していた。南アフリカと引き分けることができれば、それだけで大きな価値がある。オーストラリア人指揮官の判断は妥当なものだったはずだが、リーチは「同点じゃなく、勝ちにいくという気持ちだった。みんなもそうだった」と話した。

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