ラグビー日本代表「超速アタック」はオールブラックスにも通用した キーマンは新9番 (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

【名将エディーからもらったアドバイス】

 しかし、スピアーズに入団して社会人になると、天理大の先輩(4学年上)でもあるSH谷口和洋からポジションを奪えず、控えから出場することが多くなった。スピアーズが優勝した2022年シーズンも、プレーオフ準決勝・決勝ともにベンチからのスタートだった。

 ところが昨シーズン開幕直前、谷口がケガを負ってしまったために藤原は9番を背負う転機を迎える。そのチャンスを活かした結果、藤原はスーパーラグビーとの試合も含めて17試合に先発し、実力を大きくアピールすることに成功した。

 スピアーズをパス、ラン、キックで引っ張る姿を見たジョーンズHCも、藤原の活躍に目を止めたひとりだ。「(閃きのある)スパークアタックができる」と高く評価し、6月に日本代表に初招集した。

「エディーさんからは『9人目のFWのように強気でやってくれ』と言われています。練習後に何回か(ジョーンズHCから)フィードバックをもらったんですが、『ナイスパス!』と声をかけられるようになりました。

 エディージャパンに呼ばれた直後は、いろんなことにフォーカスしていたことを(ジョーンズHCに)見抜かれて、『それだと自分にプレッシャーがかかってミスにつながるから、とりあえずボールに集中すること、ディフェンスをオーガナイズすることだけを考えてプレーしろ』とアドバイスをもらいました」

 また、超速ラグビーを実践するために、ジョーンズHCから言われていることがあるという。それは「考えずに動け」だ。

「エディーさんから『試合中に考える暇はない』と言われています。考えていたら、たしかにスペースがなくなる。感覚で動いていく時もあると思うので、(自分から仕掛けるプレーは)試合中に1,2回しかチャンスはありませんが、行けるときは行きます!」

 チャンスと思った感覚を信じ、オールブラックス戦では前半20分まで超速ラグビーの片鱗を出せた。次はそれをどこまで長く出せるかが、今後の改善点だろう。

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