ラグビー日本代表・姫野和樹がオールブラックス戦へ向けて語る「初めての超速」 (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

【オールブラックスに勝つのも夢じゃない】

 姫野にとって、ジョーンズHCが掲げる「超速ラグビー」は初めての経験だ。その感想を聞くと、ジェイミージャパン時代と比較しながら説明した。

「ラグビー自体のディテールは変わっていますが、日本代表の得意としている分野──ストロングポイントを活かしながらラグビーをしていくのは、これまでと変わらない。引き継ぎながらイノベーションして『エディー流』に改良している。スキルを上げて、考える判断や身体を動かす速さを追求していくことが、僕らの目指す方向だと思う」

 エディージャパンに合流して1週間あまり、まだ姫野が慣れていない部分もある。だが、そんな状況も「苦労しているというより、楽しいし、すごく面白い!」と話す。

「頭のなかで『どこに行かなきゃいけない』と考えながらプレーしているので、それを繰り返して身体に慣れさせるのが重要。速いテンポで常に相手よりスピードで上回り、相手ディフェンスが揃う前にアタックする。そういう考え方はすばらしい。相手より常に一歩、二歩速く動くことができれば、さらにいいラグビーができる」

 次のワールドカップは3年後。33歳で迎える大舞台は、もちろん視野に入っているだろう。現在30歳でベテランの域になった姫野は、3度目のワールドカップ出場をどのように捉えているのか。

「もちろん出たいとは思っていますが、正直、意識はしていません。3年後の話なので、ひとつずつ時期を区切って、足もとを見ていかないといけない。自分が毎日、ベストな選手に、ベストな人間になることが、ワールドカップにつながる。地に足をつけてやりたい」

 オールブラックスとの対戦成績は過去0勝7敗。いまだ白星はない。ただ、2年前に姫野がキャプテンとして挑んだ試合は31-38と肉薄した。26日のオールブラックス戦には、昨年のワールドカップ・アルゼンチン戦以来となる先発メンバーに名を連ねた。自身も2021年にニュージーランドのハイランダーズでプレーしていただけに、どんな思いで臨むのか。

「オールブラックスに勝つと、歴史的瞬間になると思う。2年前は1トライ差ほどの差で負けましたが、日本代表もそのレベルまで来ている。オールブラックスに勝つのも夢じゃないと感じています。みんな必ず勝ちたい思いを持っているので、その思いが原動力になっている」

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