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「史上最高レベル」の外国人選手たちがリーグワンに参戦 なぜ多くの世界的スターたちが日本を選ぶのか (3ページ目)

  • 直江光信●取材・文 text by Naoe Mitsunobu

【世界王者・南アの"ポケット・ロケット"コルビがサントリーに】

 今回のワールドカップで単独最多となる4回目の優勝を果たした世界王者・南アフリカは、これまでも多くの現役代表選手が日本で活躍してきた縁の深い国だ。ただ今シーズンより東京サントリーに加わるウイング(WTB)のチェスリン・コルビへの期待は、過去最大級といっていい。

南アの「ポケット・ロケット」コルビは爆発的な加速が魅力 photo by Getty Images南アの「ポケット・ロケット」コルビは爆発的な加速が魅力 photo by Getty Images

 チーム発表の数字では身長172センチ、体重80キロ。日本の平均的な成人男性とさして変わらぬ体格ながら並外れた身体能力を有し、爆発的な加速と「目の前から消える」と評される鋭いステップでトライを量産するワールドクラスのフィニッシャーだ。相手ディフェンダーを一瞬で置き去りにするランから「ポケット・ロケット」の愛称で世界的人気を誇り、多くのファンが目の前でその走りを見る日を心待ちにしていることだろう。

 なお東京サントリーには日本代表のフルバック(FB)松島幸太朗も在籍しており、コルビと形成するバックスリーは対戦相手にとって今まで以上の脅威となるのは間違いない。同じ1993年生まれで、プレーヤーとして円熟期を迎えつつある2人が、どのように持ち味を引き出し合い、相乗効果を生み出すかという点も注目だ。

 昨季のリーグワンでクラブ創設45年目にして悲願の初優勝を果たしたクボタスピアーズ船橋・東京ベイには、ウェールズからFBリアム・ウィリアムズが加入した。188センチ、85キロの長身BKでハイボールの競り合いに強く、重心の低いランと切れ味鋭いサイドステップにも定評がある。ウェールズ代表として95キャップを積み重ね、ワールドカップには2015年、2019年、2023年と3大会連続で出場。外国人選手といえばほとんどが南半球出身者という日本のリーグワンで、ヨーロッパの熟練のベテランがどう持ち味を発揮するか興味深い。

 最後に紹介するのは、静岡ブルーレヴズに入団したトンガ代表のFBチャールズ・ピウタウだ。2013年に21歳でニュージーランド代表デビューを果たし、2015年までに17キャップを獲得。23歳でイングランドのワスプスに移籍した際は、「甚大な損失」とニュージーランド国民を落胆させた(編注:ニュージーランドでは自国以外のクラブでプレーする選手は例外条項があるものの、原則、代表に選ばないというルールがあるため)。その後、2018年にイングランドのブリストル・ベアーズと契約した際は、「世界でもっとも年俸の高い選手(125万米ドル=約1億8750万円)」とも報じられている。

 2022年に国代表選手の資格規定が改正され、最後に出場した代表戦から36カ月以上が経過していれば自身がルーツを持つ国に代表資格を変更できるようになったため、2023年のワールドカップ・フランス大会には両親の祖国であるトンガ代表の切り札として出場。全選手で最多となる10回のオフロードパスを決めるなど、卓越したパフォーマンスでチームを牽引した。群を抜く脚力とボディバランス、精度の高い左足のキックを兼ね備えた世界有数のアタッカーであり、昨季あと一歩で勝ちきれない試合が続いた静岡にとって大きな補強となりそうだ。

著者プロフィール

  • 直江光信

    直江光信 (なおえ・みつのぶ)

    スポーツライター。1975年、熊本市生まれ。県立熊本高校を経て、早稲田大学商学部卒業。熊本高でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。大学時代はGWラグビークラブでプレー。ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動し、J SPORTSのラグビー中継解説者も務める。

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