元ラグビー日本代表・大西将太郎が振り返る、伝説のコンバージョンキック「蹴る前にレフリーからかけられた言葉が今でも忘れられない」 (3ページ目)

  • 齋藤龍太郎●文・撮影 text & photo by Saito Ryutaro

──そして9月開幕の第10回ワールドカップは、大西さんが活躍した2007年大会以来となるフランス開催です。昨秋は解説のお仕事で、日本が2試合を行なうトゥールーズに行かれましたね。

「ワールドカップはもう始まっているんじゃないか、と思えるぐらいの熱気でした。やはりフランスでのワールドカップは特別で、イングランドやニュージーランド、オーストラリアなど他の国とは違う独特な雰囲気があるんです。だからこそ、そんなフランスでの約2か月間のお祭りのような時間をひとりでも多くの方に味わってほしいと思っています。

 特に2019年の日本大会から見始めたファンの方は『前回大会とはちょっと雰囲気が違うな』と見ていてわかると思いますよ。ワールドカップはもちろんラグビーの世界一を決める大会ですが、開催される国によって違うワールドカップが味わえるのも醍醐味です」

──最後に、大西さんにとってワールドカップとは何でしょうか?

「夢のなかにいる時間、ですね。大会期間中ずっと夢のなかにいるイメージで、本当に1分1秒、一挙手一投足、全てを無駄にしたくない時間です。試合はもちろん試合以外でも仲間と過ごす時間、ファンの皆さんが応援してくれる時間、メディアが取り上げてくれる時間、それらはワールドカップの期間でしか味わえないものなので、その全てを味わいたいという思いでした。

 今回は自国開催ではありませんが、ワールドカップでしか味わえないものがあることに変わりはありません。『やっぱりラグビーっていいよね』と今大会で再認識してもらえるとうれしいです」

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 世界のラグビーの魅力を発信し続ける大西将太郎氏は、現役を退いた今もワールドカップへの熱い思いを持ち続けている。独特な雰囲気を醸すフランス大会を経験した元選手の視点から、ファンがラグビーの醍醐味を味わえるよう解説者として全力でサポートし続ける。

【profile】
大西 将太郎(おおにし・しょうたろう)
1978年11月18日生まれ、大阪府東大阪市出身。ポジションはSO/CTB。地元の布施ラグビースクールで小3からラグビーを始め、啓光学園高3年時に全国高校大会準優勝。日本代表には2000年、同志社大3年時のオフに初選出。以降、2008年まで通算33キャップを重ねる。ラグビーワールドカップは2007年フランス大会に出場。トップリーグは通算143試合に出場し、2007-2008シーズンはベスト15、得点王、ベストキッカー賞の3冠に輝く。2016年に現役引退し、主に解説者として活動中。

プロフィール

  • 齋藤龍太郎

    齋藤龍太郎 ((さいとう・りゅうたろう))

    編集者、ライター、フォトグラファー。1976年、東京都生まれ。明治大学在学中にラグビーの魅力にとりつかれ、卒業後、入社した出版社でラグビーのムック、書籍を手がける。2015年に独立し、編集プロダクション「楕円銀河」を設立。世界各地でラグビーを取材し、さまざまなメディアに寄稿中。著書に『オールブラックス・プライド』(東邦出版)。

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