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元ラグビー日本代表・大西将太郎が振り返る、伝説のコンバージョンキック「蹴る前にレフリーからかけられた言葉が今でも忘れられない」 (2ページ目)

  • 齋藤龍太郎●文・撮影 text & photo by Saito Ryutaro

──2011年大会は2007年大会と同じく3敗1分けでしたが、2015年大会、2019年大会で日本代表は新たな歴史を作りました。

「今の選手たちは大きな壁を打ち破っています。強豪国と戦って次々と偉業を成し遂げていく彼らにはリスペクトしかありません。もちろん僕よりも前に代表としてプレーされた方々に対しての敬意もありますし、その桜のジャージーを今のみんなが引き継いでくれています」

──2015年のワールドカップで、大西さんは日本代表が歴史的勝利を挙げた南アフリカ戦の中継にゲスト出演されていました。

「もちろん日本代表をリスペクトしつつも、当時現役の自分がなぜそこ(日本代表)にいないんだ、という思いもどこかにありました。でも、そんな思いを全て通り越してうれしさや感動に変わったのは、歴史的勝利(○34-32)に貢献した同期の(大野)均ちゃんと試合後に中継で話した時でした。

 2007年大会で日本代表の誇りをかけて一緒に戦った仲間が『やったよ』って言ってくれたんです。均ちゃんのその言葉を聞いて、表情を見て、本当にうれしかったですし、『ありがとう』しかなかったですね。隣に座っていた箕内拓郎さん(2007年大会日本代表キャプテン)も『均ちゃんのあの言葉にやられた』と言っていました。代表はそうやってつながれていくんだな、とあらためて思いましたね」

──2019年大会はプール戦4戦全勝で初の決勝トーナメント進出という、2015年大会をさらに上回る結果を残しました。

「昔からラグビーをしている人間からすると、日本でワールドカップが行なわれていること自体が夢のようでしたが、日本代表がプール戦で4勝もしてベスト8に入るという、さらに夢のようなことを成し遂げました。自分が生きている間にこんなことが起きるのか、ということが連発したので、もちろんうれしく思う一方で心のどこかで『これは現実なのかな』という思いもありました(笑)。日本中がラグビー一色になって、本当にうれしかったです」

──優勝候補のアイルランド、そして伝統あるスコットランドをいずれも7点差で撃破しました。

「スコットランド戦は前日に台風が直撃して開催が危ぶまれましたが、多くの方々の尽力で試合ができたことも含め、ベストゲームだったと思います。もちろんスコットランドもプール戦を突破したいという強い思いがあるなか、日本代表が勝利を収め、試合後にスコットランドが心の底から悔しそうな表情をしていました。ああ、日本代表は本当に強くなったな、と感じましたね」

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