女子ラグビーで人気を博した桑井亜乃の今。もう一度オリンピックに出たかった夢を、次はレフェリーとしてトライ (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 でも、陸上で大学に進学したこともあったので、まずは4年間陸上を続けて、卒業後に進路を決めたいと思っていました。だけど、ラグビーが楽しくなっている自分がいて、3年、4年は自主的に授業を履修して、どんどんラグビーの魅力にハマっていきました(笑)。ボールを持って自由に走っていいところに惹かれましたね」

---- 本格的にラグビーを始めたのは、大学卒業後ですか?

「はい。ラグビーに専念したのは卒業後の2012年からです。小さい頃から『オリンピックに出てみたい』という気持ちが強くあって、当時は女子ラグビーの強化が始まったばかりだったので、陸上から転向した私にも可能性があるならチャレンジしたいと思ったんです。

 大学卒業後は働きながら7人制女子ラグビーのチームにお世話になり、本格的に始めてから3カ月月で世界学生セブンズ大会(フランス)初公式戦に出場し、1年くらいで初めてサクラセブンズに呼んでもらいました。その後、立正大学の大学院に進学して立正大学ラグビー部に所属して、進学2年目の時に女子ラグビークラブ『アルカス熊谷』ができたので、それからずっとアルカスでプレーし、今でも所属しています」

---- 大学院終了後は、働きながらラグビーを続けていたんですね。

「アルカスの地元・熊谷にある八木橋百貨店で、2015年の4月から6年半働いていました。基本的な仕事は事務職でしたが、年末年始の時はおせち料理や福袋の準備をしたり、お餅を切って袋詰めしたりして、いろいろ楽しかったですね(笑)。

 でも、7人制ラグビーはオールシーズンなので、当時のサクラセブンズはほとんど休みがなく、職場の方に融通してもらいながら合宿や大会に参加していました。当時は千葉・勝浦で合宿することが多く、砂浜を走ったり、筋トレしたり、とにかくきつかったので、今でも思い出したくないくらい......。レフェリーという立場になって勝浦に呼ばれても、行くのをためらってしまうほどです(笑)」

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