女子ラグビーで人気を博した桑井亜乃の今。もう一度オリンピックに出たかった夢を、次はレフェリーとしてトライ (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

---- リオデジャネイロ五輪への出場が決まった時、女子ラグビーへの注目が一気に高まりましたが、当時はどんな思いでしたか?

「オリンピックに出られることが快挙、という感じでしたね。当時のサクラセブンズはアジアで5位からのスタートだったので、オリンピック出場は無理だろうって言われていました。ちょうどアジア予選の直前に2015年ラグビーワールドカップで男子15人制日本代表が活躍したこともあって、その勢いで女子も盛り上がりました。女子ラグビーが少しでも認知されたのはうれしかったですね!」

---- 幼い頃から出たかった「オリンピックの舞台」はいかがでしたか?

「私たちは、その時の自分たちの立ち位置をはっきりと自覚していました。世界を転戦する国際大会『ワールドシリーズ』では12位、11位、10位、9位という順位だったので、私たちに実績はなかった。ただ、オリンピックは何が起こるかわからない舞台なので、しっかりと準備は整えて臨みました。しかし、試合では噛み合わないことも多くて、結局のところ10位。実力どおりの結果ではあったと思います」

---- 試合を終えたあと、どんな感情になりましたか?

「パフォーマンスのピークをオリンピックに合わせられていたかなと思います。その結果トライにもつながったし、やっぱりプレーしていて楽しかったので、大会が終わった瞬間にすぐ、母親にもメディアにも『次も目指す!』って言っていましたね。もちろん内容に満足したわけじゃないけど、小さい頃からの夢の舞台を、予選を勝ち抜いて自分たちの力で掴んだものだから、なおさら『頑張ってきてよかったな』って思えました。

 いろんな人に応援してもらえた大会で、どの大会よりも思い入れを持って臨んだからこそ、結果が出なかったことに対して、1カ月くらいは感情がコントロールできない部分もありました。でも、ラグビーは続けたいから、大会が終わったあとにすぐ、アジア勢との国際大会に出場したり、15人制の日本代表としてもプレーしました」

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