慶應義塾大に何が起きた。
22年ぶりに大学ラグビー選手権出場を逃す (2ページ目)
ではなぜ、今シーズンの慶應義塾大は低迷してしまったのか----。
2015年度から昨年度まで、慶應義塾大は金沢篤ヘッドコーチ(HC)が率いていた。医学部のSO古田京(5年)、LO(ロック)辻雄康(サントリー)、FB(フルバック)丹治辰碩(パナソニック)といったスター選手が在籍し、この3人をはじめ慶應高校時代に「花園」全国高校ラグビー大会に出場した経験を持つメンバーがチームの中心だった。
それでも、昨年度は対抗戦で明治大に勝利するものの、大学選手権では早稲田大に敗北。準決勝に駒を進めることはできなかった。
そして今シーズン、新たな指揮官として白羽の矢が立ったのが、41歳の栗原徹HCだった。栗原HCは現役時代、ランとキックに長けたプレーヤーで、大学3年時には慶應義塾大の大学日本一に貢献し、日本代表でもFB(フルバック)として活躍。サントリーとNTTコミュニケーションズでプレーし、2013年度で引退したのち、2014年からはNTTコミュニケーションズでコーチを務めていた。
栗原HCは選手時代やコーチ時代を通じ、アンディ・フレンド(コナート・ラグビーHC)、エディー・ジョーンズ(イングランド代表HC)、ロブ・ペニー(ワラターズHC)、ジェイミー・ジョセフ(日本代表HC)といった世界的名将に薫陶を受けた経験がある。日本人指導者のなかでは、世界を知るコーチのひとりだ。
慶應義塾大ラグビー部の新指揮官となった栗原HCは、伝統あるチームの既成概念にこだわらず、積極的にコーチ陣の拡充と選手の確保に努めた。
まず周囲を驚かせたのは、昨年度まで早稲田大のコーチを務めていた元東芝の三井大祐氏を招聘したことだった。早稲田大出身が慶應義塾大を指導するのは、まさしく異例のこと。また、サントリー時代のチームメイトだった竹本隼太郎にFWコーチを、さらに元キヤノンの和田拓にはジュニアチームの指導を任せた。こうして、100人を超える部員の底上げを狙った。
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