「エコパの歓喜」は後半無失点。攻守の細部を分析すると勝因がわかる (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • 齋藤龍太郎●撮影 photo by Saito Ryutaro

 この試合で合計11回のタックルを見せたCTB(センター)中村亮土(サントリー)は胸を張る。

「アイルランド代表の攻撃は、『FWが前に出て、そこから外に回す』という想定どおりでした。相手はFWが前に出られなかったので、BKにいいボールを回せなかった。すごくいいプレッシャーをかけていた」

 一方、アタックでキーワードに掲げていた「ボールキープ」も目立っていた。

 ボールキープは、相手の攻撃時間を奪うことを目的としていた。だが、相手のディフェンスがさほど前に出てこなかったこともあり、日本代表は前半から果敢にFWとBKが一体となってボールを展開し、勢いある攻めを見せ続けた。

「ボールキープすれば、自分たちのアタックができる」

 SH(スクラフハーフ)流大(ながれ・ゆたか/サントリー)が自信を持っていたように、田村が前半17分、33分、39分と相手のペナルティを誘って3本のPGを決めることができたのも、ボールキープからいいアタックができていた証拠だ。

 この試合、唯一のトライが生まれたのは、9-12で迎えた後半18分。成功率100%(6回中6回)だったスクラムを起点に、中村が前に出てリーチらがゴールラインに迫ったことで、最後は左サイドにいい形でアタックラインができていた。

 WTB(ウイング)松島幸太朗(サントリー)を飛ばしてCTB(センター)ラファエレ ティモシー(神戸製鋼)にパスを出した中村が、「シェイプ(BKの陣形)も見えていたし、外に余っていたのもわかっていた」と言えば、トライを挙げた福岡も、「(前に)スペースがあるのが見えていましたし、内側にティム(ラファエレ)がいたので、あのくらいの間合いなら絶対パスしてくれるとわかっていた。阿吽の呼吸でした」と破顔した。

 決勝トライを挙げた福岡はケガから復帰したばかりで、本来は3試合目のサモア代表戦からの出場を予定していた。だが、WTB(ウイング)ウィリアム・トゥポウ(コカ・コーラ)のケガで急遽、当日に出場が決まり、決定力の高さを発揮した。

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