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「エコパの歓喜」は後半無失点。
攻守の細部を分析すると勝因がわかる (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • 齋藤龍太郎●撮影 photo by Saito Ryutaro

 ジョセフHCはアイルランド代表戦の勝因を、こう分析する。

「自分たちがやりたいことを今日やれた。それが勝因です。この3年間、この試合に焦点を当ててきました。そういった意味で、相手よりアドバンテージがあったと思います。選手たちがよくやってくれた」

 日本代表が世界に衝撃を与える「アップセット」を起こすことができたのは、攻守にわたってモメンタム(勢い)を支配したからだ。

「日本代表はビッグチームでした。エネルギー、インテンシティが本当にすばらしかった。最初の20分間はこちらがゲームをコントロールできましたが、時間が経つたびに相手に流れがいってしまった」。アイルランド代表を率いる「世界的名将」ジョー・シュミットがこう振り返ったとおり、前半20分からは日本代表が攻守にわたって主導権を握った。

 接戦に持ち込む大きな要因となった日本代表のディフェンスは、チーム一丸となってフィジカルの強いアイルランド代表の攻撃を止め続けた。前半こそキックをうまく使われて2トライを許したが、後半は相手を無失点に抑えた。

 この試合のディフェンスのテーマは、「ダブルコリジョン(ふたりでの衝突)」だった。

 日本代表のディフェンスは、素早く前に出て、相手の判断時間とスペースを奪うラッシュを得意とする。宮崎合宿では、相手の上半身にふたりで突進する「ダブルショルダー」に取り組んできた。

 だが、アイルランド代表戦ではひとり目が相手の腰あたりにしっかりと突っ込み、ふたり目が上半身にタックルした。タックルにいった選手は接点で相手に絡んで球出しを遅らせる、ということに焦点を当てていたのだ。

 また、ディフェンスラインのコネクト(両サイドの選手とコミュニケーションを取って一緒に前に出る)意識も高く、ふたりで相手の勢いを止めるシーンも多かった。相手がBKに展開した時も、その選手にいち早くプレッシャーをかけて止めていた。

 気温26度、湿度70%の天候も味方したかもしれない。後半、フィットネス勝負では日本代表が相手を上回っていた。

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