2019.09.30

「エコパの歓喜」は後半無失点。
攻守の細部を分析すると勝因がわかる

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • 齋藤龍太郎●撮影 photo by Saito Ryutaro

 2度目の大金星は「奇跡」ではない。23人、いやスタッフも含めてチーム全員で掴み取った「歓喜」だ。

 9月29日、「ブレイブ・ブロッサムズ(勇敢な桜の戦士たち)」ことラグビー日本代表(世界ランキング9位)は、ワールドカップの予選プール2試合目を静岡・小笠山総合運動公園エコパスタジアムで迎えた。相手は大会前まで世界ランキング1位で、この4年間で王者ニュージーランドを2度破っているプールA最強のアイルランド代表(同2位)だ。

アイルランド代表から金星を獲得した日本代表 ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は出発前のプレゼンで、このように選手を鼓舞した。

「僕らが勝つことを誰も信じていないし、接戦になるとも思っていない。僕らが歩んできた道のりは誰も知らないし、自分たちしか知らない。信じられるのは自分たちだけ。自分たちがやってきたことを信じよう」

 その言葉に、自然と選手たちも気持ちのスイッチが入った。

 日本代表は前半こそ2トライを許したが、FWとBKが一体となった献身的なディフェンス、そして積極的なアタックで強豪アイルランド代表を相手に接戦を演じた。

 SO(スタンドオフ)田村優(キヤノン)がPG(ペナルティゴール)を4本決めると、後半には途中出場したスピードスターWTB(ウイング)福岡堅樹(パナソニック)が快足を生かして逆転トライ。日本代表が19−-12でアイルランド代表を打ち破る「番狂わせ」を演じ、日本ラグビー界に新たな歴史を築いた。

 ノーサイド直後、5万人あまりの観衆は「万歳」「ジャパン」コールで選手たちを称え、勝利を喜んだ。プレイヤーオブザマッチに輝いたHO(フッカー)堀江翔太(パナソニック)は、「(ファンの)みなさんの声援のおかげで、最後の1cm、最後の1mmを走ることができました!」と、その声援に応えた。

 試合後、キャプテンのFL(フランカー)リーチ マイケル(東芝)はこう語った。

「絶対勝つ、というメンタルが重要だった。アイルランド代表のやることはわかっていたので、僕たちは細部にひとつひとつこだわって、80分間戦った」