「これがワールドカップだ」。
SH流大はガチガチの仲間を鼓舞し続けた (2ページ目)
それでも、試合は自分たちの思うように運ばなかった。
「プレッシャーや試合を楽しもう」と選手たちは口々に言っていたものの、相手のキックオフをいきなりミスして攻め込まれる。前半4分、相手のハイボールを日本代表FBウィリアム・トゥポウ(コカ・コーラ)が落球し、相手WTBにそのルーズボールを取られ、そのままトライを許してしまう。
悪い流れになりかけた。だが、流はすかさずみんなに声をかけて励まし、時には尻を叩きながらチームメイトを鼓舞し続けた。
「緊張はしていましたが、試合を通してコミュニケーションは取れていました。ちょっとでもみんなを発奮させようと、『勝つには80分、絶対かかる』、『今、トライが獲れなくても、必ずチャンスは来る。目の前のことに集中して、それをやり続けよう』と言いました」。
流のリーダーシップは折り紙付きだ。荒尾高はもちろん、帝京大時代もスキッパーとしてチームを引っ張り、大学選手権6連覇に貢献した。サントリーでも「一番きつい時、一番声を出せる選手」と高く評価され、入団2年目でキャプテンに抜擢。チームを2年連続でトップリーグ制覇に導いた。
そのリーダーシップを、ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)も高く評価する。2017年春のアジア勢との国際大会では、当時まだ代表経験のない流をキャプテンに指名。代表初キャップ獲得と同時にキャプテンとしてテストマッチに出場したのは、ワールドカップで2度キャプテンを務めたNo.8(ナンバーエイト)箕内拓郎以来の快挙だった。
ロシア代表戦の序盤は緊張により、ノックオンなどのミスが目立った。だが、キャプテンのFL(フランカー)リーチ マイケルを筆頭にリーダー陣の鼓舞によって、徐々に緊張は和らいでいった。そして前半12分、そして前半39分とWTB松島の連続トライで、12-7とリードしてハーフタイムとなった。
後半、日本代表はロシア代表のキック戦略に付き合わず、「ボールを持った時にしっかり保持してスコアに持っていこう」(流)と戦略をやや修正。結果、後半は相手をPG(ペナルティゴール)1本のみの3点に抑えて30-10で勝利した。
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