W杯の切り札に。野口竜司は「ポスト五郎丸」の枠を超えたラガーマン (4ページ目)

  • 向風見也●文 text by Mukai Fumiya
  • 井田新輔●写真 photo by Ida Shinsuke

 これまでも悔しさをモチベーションに変えてきた。今年6月のアイルランド戦でもそうだ。試合中に相手のタックラーに掴み上げられた場面を思い出し、こう語った。

「前に出ようとしたときに上体が浮いて、ボールに絡まれて......(自分の)判断ミスでもあります。あそこはもう一歩低くなって当たるか、半身ずらして当たって味方のサポートを待つか、(ぶつからずに)外に振るか、味方のいるところへ走るか......。変えられる部分がまだあると、プラスに捉えていきたいです」

 目標はプロ選手になることだ。最近は、所属企業の仕事に携わる社員選手を志望する学生も多いが、野口は将来の保証よりも自らの信念にこだわる。

 インタビューでは謙虚な言葉を並べることが多い野口だが、言葉の端々にプライドをのぞかせる。

「誰かができて、自分ができないということはほとんどないと思うので......。どうやったらそのテクニックを自分の体、スタイルに合う形で身につけられるかにチャレンジしていきたいと思っています」

 野口の細やかさと向上心は、"ポスト五郎丸"という枠に収まりきらない。W杯日本大会に向け、楽しみが増えたことだけは間違いない。

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