W杯の切り札に。野口竜司は「ポスト五郎丸」の枠を超えたラガーマン (2ページ目)

  • 向風見也●文 text by Mukai Fumiya
  • 井田新輔●写真 photo by Ida Shinsuke

 2015年のワールドカップ(W杯)イングランド大会以降、日本代表から離れていた五郎丸だが、この夏、約1年半ぶりに国内リーグへ参戦。代表復帰が期待されている。

 185センチ、100キロの五郎丸は、大きな体を生かした力強いプレーとロングキックが特長の選手だったが、177センチ、86キロの野口は、キレとボディーバランスを長所とする。

 代表デビューを果たした昨季から"ポスト五郎丸"と報じられていた野口だが、本人は「ポジションは同じですけど、プレースタイルは違うと思います」と言い、こう続けた。

「人それぞれいいところを持っています。キャリー(突進)とキックは、僕とは比べものにならない。代表に必要なスキルを持っている方だと思います。競い合うとかではなく、合宿で一緒になるようなことがあったら、いいところを盗んで、自分のものにしていけたらいいなと」

 そう謙遜する野口だが、身体能力に頼らぬ資質で存在感を示す。

 ボールを持てば、「半身ずらしてレベルアップしたい」と語るように、相手タックラーの真正面を逃れながら鋭く仕掛けていく。こうすることで、相手の上腕につかまれることはあっても、胸元にはぶつからないので持ち前のボディーバランスでスルスルと前に進んでいく。

 また、守りでは読みの鋭さが光る。相手が自陣に球を蹴ってくれば、落下地点へ先回りして捕球。さらに相手のランナーが味方の防御網を破れば、やはりその走路を先回りして待ち構える。

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