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【ラグビー】帝京大7連覇達成! 揺るがないチームの「文化」 (4ページ目)

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu  齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 岩出監督が説明する。

「結果としての連覇はうれしいですけど、釜石や神戸製鋼とは違います。学生は夢を持つことがエネルギーとなります。4年間、あるいは1年間を、学生が高い目標を持って、きちっと努力していくことが大事なんです。そうやって社会でも生きる力を身に付けてもらいたいのです」

 確かに帝京大には、1年生ウイング竹山晃暉ら高い素質の学生が多いけれど、高校時代は無名だった学生もいる。いろいろなレベルの学生がひとつの目標を追い続けることがいかに貴いことか。財産となるか。坂手主将の代わりに出場して奮闘したHO堀越が胸を張った。

「うちは勝利やレギュラーをあきらめた選手というのが1人もいないんです。最後まで全員がポジションを競い合う、それが一番の強みです」

 坂手主将はラスト5分、交代でピッチに立った。相手にトライされた後、インゴールで手をたたき、チームを鼓舞していた。いいキャプテンである。主将は言葉に実感を込めた。

「今年1年の積み重ねがこういう結果になって、部員全員で笑顔になれたことがよかったと思います」

 同じく帝京の強みを聞くと、坂手主将はこう言った。

「文化だと思います。7年間、その文化が伝承され、醸成されました。ラグビー文化はもちろんですけど、人間としての魅力を作っていくラグビー部の文化というのがあるから、ここまでの記録になったんです」

 いかに潤沢な環境や学校の支援も、傑出した才能も、努力の継続というチームの文化がなければ水泡に帰す。連覇はできない。帝京の帝京たる所以(ゆえん)は、基本プレーの習熟にある。フィジカル、フィットネス、スキルを鍛えながら、岩出監督たちが基本プレーをきめ細かく、丁寧に指導してきたのである。

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