【ラグビー】帝京大7連覇達成! 揺るがないチームの「文化」 (2ページ目)
「(前半)ちょっと勝ちにこだわりすぎているんじゃないかと感じたんです。いいプレーを生むためには冷静さも必要なので。厳しさを楽しもうと話したのです」
肩から力が抜けた帝京大の動きは凄まじかった。深紅の王者が怒涛のごとく前に出る。キックオフからの相手ボールに対し、フランカーのイラウアが強烈なタックルを浴びせ、乱れたパスにフォワード(FW)が殺到し、ペナルティーを奪った。ペナルティーゴール(PG)が決まる。
さらに後半6分。今度は後半から交代出場したFB重一生が自陣ゴール前からカウンター攻撃を仕掛け、スタンドオフ(SO)の松田力也が大きくゲイン。右に左につなぎながら、要所では前に出て、最後はラックのボールを重が拾って中央に飛び込んだ。ゴールも成功して15-5。これで勝敗の流れがほぼ決まった。重の述懐。
「流れを変えてやろうと思って(グラウンドに)入りました。リラックスして、自分の強みを出せました。強み? スペースを見つけて、しっかり前に出ることです」
帝京大の強みは、『修正力』、いわば『考える力』である。経験値の高さといってもいい。後半、ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)ではボールキャリアがより前に出るようになり、2人目の相手を一掃するプレーにも勢いがついた。モールつぶしも意識が統一され、劣勢だったスクラムでも一段低く構えて、押す角度を微妙に変えた。
HOの堀越康介によると、自身と左プロップ(PR、1番)の徳永一斗で、相手の巨漢PR(3番)平野翔平をつぶしにいった。後半はスクラムでコラプシング(故意に崩す行為)の反則も奪った。相手のお株を奪うようにラインアウトからのモールを押し込んでトライを加えた。
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