なぜスーパーラグビーに日本人選手が続々と参戦するのか? (5ページ目)

  • 斉藤健仁●文・写真 text & photo by Saito Kenji

 もちろん、彼ら4人は実力があったからこそ契約に至ったわけだが、スーパーラグビー参戦にジョーンズHCの後押しが大きかったのは否めない。昨年、オーストラリア・カンファレンスのブランビーズに所属した立川理道(クボタ/25歳)は、SOやCTBといったゲームをコントロールするポジションだったこともあり、1試合も出場できなかった。また、同カンファレンスのレベルズに所属していたマレ・サウ(ヤマハ発動機/27歳)も本来のCTBではないWTBでの起用に戸惑い、ともに今年はスーパーラグビーでプレイせずにワールドカップに備える選択をした。

 トップリーグ終了直後にオーストラリアに飛び立った山田は、スーパーラグビー開幕戦ではベンチ外。リーチ、松島、ツイ、稲垣の4選手は、日本選手権終了後に海を渡る。「外国人選手」扱いながら、シーズン途中からの合流となるため、厳しい現実が待っているのは想像に難(かた)くない。また、世界レベルの代表選手が揃うリーグなだけに、ケガのリスクも小さくないだろう。昨年の立川のように、公式戦に出場することができず、ゲーム勘を失う恐れもある。

 それでも挑戦しなければ、なにも始まらない――。「さらにレベルの高い場所で戦ってみたい」という思いは、アスリートの本能でもあるだろう。田中や堀江はスーパーラグビーで試合を重ね、その経験を日本代表に還元し、いまや特別な存在となった。

 24年間の長きに渡り、日本代表が白星を挙げていないワールドカップの開幕まであと7ヶ月――。リスクをかえりみずスーパーラグビーに臨む「勇敢な桜の戦士たち」を、心から応援したい。そして、世界的な選手へと成長することを願うばかりだ。

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