なぜスーパーラグビーに日本人選手が続々と参戦するのか? (4ページ目)

  • 斉藤健仁●文・写真 text & photo by Saito Kenji

 それでも、「夢だったスーパーラグビーでプレイしたい」というリーチは、2013年、所属する東芝と関係性が強いチーフスの「育成枠選手」となり、期限付き移籍を発表。しかし残念ながら、6月の日本代表戦で負傷し、チーフスとの契約は解除されることになった。2014年もオーストラリア・カンファレンスのチームと契約直前までいったが、再びケガのために断念。だが今年、ついにチーフスのスコッド(本メンバー)に選出され、リーチは念願のスーパーラグビー参戦を果たした。

 一方、今年初めてスーパーラグビーに参戦する4選手(松島=ワラタス、ツイ=レッズ、山田=ウェスタン・フォース、稲垣=レベルズ/すべてオーストラリア・カンファレンス所属)の移籍には、日本代表のエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)の存在が大きくかかわっている。

 元オーストラリア代表監督で、スーパーラグビーでの優勝経験もあるジョーンズHCは、「海外でプレイしたい選手がいれば支援する」「スーパーラグビーの試合はすべてテストマッチ(国際試合)のよう」と語っていた。「ワールドカップでベスト8進出」を掲げる指揮官にとって、アジア国との親善試合だけでは大きな強化につながらないと感じていたのだろう。

 そのため昨年、ジョーンズHCは個人的にオーストラリア協会に掛け合い、各チームに1名だけ『日本人枠』を作ってもらったようだ。日本ラグビー協会がかかわっていないため、公式なリリースは出ていないものの、山田の所属するウェスタン・フォースのホームページには、「オーストラリアの各チームは35名のスコッド以外に、1名の日本人選手をリクルートすることが許されるため、山田と1年契約を結んだ」と明記されている。

4 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る