【ラグビー】藤田慶和、復活。「じん帯断裂の悪夢から学んだこと」 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●文・写真 text & photo by Saito Kenji

 それでも、「楽しむ」ことを心の支えに、藤田は左ひざにメスを入れ、すぐに復帰に向けてJISS(国立スポーツ科学センター)でリハビリを始める。そこで、Jリーガー、野球選手、バドミントン選手らと励まし合いながら、必死で取り組んだ。その結果、「トレーナーに恵まれました。前向きにリハビリできましたね」と、次第に気持ちも晴れていったという。

――リハビリを経験して、どんなことを考えるようになりました?

藤田 とにかく早くラグビーがしたかったんですけど、気持ちだけ先行するのではなく、自分の身体と向き合えるようになりました。もう一度、ケガをするのが一番怖いですから。身体のケアを第一に考えるようになりました。今もひざが痛かったら、練習を休ませてもらっています。

――手術前より身体が大きくなったように感じます。

藤田 体重は手術前と変わらず90キロなんですが、筋肉の質は良くなったと思います。バックスなので上半身だけ鍛えてもダメだと思い、それを考えてトレーニングしました。お尻の周りや体幹を鍛えてパワーをつけたことで、タックルしても飛ばされることがなくなってきました。

――練習ではナイスランを見せていました。

藤田 ステップに関して怖さはなく、スピードに乗った後も問題ないので、周囲から「戻ったのでは?」と言われます。ただ、瞬間的なスピードはまだまだ。感覚的に戻るのは、手術から1~2年しないと無理みたいです。でも、術後8ヵ月にしてはいい感じです。

 今年2月、日本代表のSH田中史朗とHO堀江翔太が、南半球のラグビー強豪3ヵ国(ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ)が参加する『スーパーラグビー』のチームに入団した。常々「スーパーラグビーでプレイしたい!」と発していた藤田は、それをどう思っているのだろうか。

――ふたりのスーパーラグビー選手が誕生しました。

藤田 先を越されたのは悔しいですが、自分の夢であるスーパーラグビーに身近な人が行ったので、よりリアルに感じてきました。早く、そしてもっと、行きたいと思うようになりました。

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