「大の里関のポテンシャルは当時から最強」 日体大の後輩・花田秀虎が感じた「言語化できない強さ」 (4ページ目)
【朝青龍さんは僕の兄貴】
── 朝青龍さんと会って、どんな話をしたのですか?
「なぜ大相撲の道へ行かなかったんだとか、アメリカでの話とか、いろいろ聞いてもらいました。その一方で、朝青龍さんの生い立ちや日本で横綱になるまでの話、当時の心境なども詳しく聞かせてもらいました。僕にとってすごく為(ため)になる話でしたね」
── 花田選手がNFLを目指していることについて、朝青龍さんはどう言っていました?
「『センス、いいね!』って(笑)。『大相撲に行ったら横綱になれる器だよ』とも言ってもらえて......。大横綱からそんなことを言ってもらえるなんて、めっちゃうれしかったですね」
── 今後も交流が続きそうですね。
「実は近々、モンゴルに行ってナーダム(モンゴルで年に1回の民族の祭典。ブフ=モンゴル相撲、競馬、弓射の3競技が行なわれる)を見てくるんですよ(本稿掲載時はモンゴル訪問済み)。朝青龍さんの自宅にお邪魔することになって。
朝青龍さんから『ナーダムが始まるから、そのタイミングで俺のところへ来て、学ぶことがたくさんあるから学べ』って言ってもらえて。ナーダムにはモンゴル人しか出られないですけど、スパーリングはさせてもらう予定です。朝青龍さんは、もう僕の兄貴です。実際に『兄貴』って呼ばせていただいています」
── モンゴル出身力士が角界を席巻して久しいですが、実際にスパーリングをやってみると強さの秘訣がわかるかもしれませんね。
「そうですね、逆輸入ファイターになるかもしれないです(笑)。モンゴル相撲は日本でも有名ですけど、やっている人って少ないじゃないですか。なので、いろんなことを学べそうです。それに朝青龍さんは大実業家なので、どういうことをされているのかも学びたいですね」
── 朝青龍さんから「横綱になれる」と太鼓判をもらいましたが、将来的にアメフトから再び相撲界に戻るという可能性もありますか?
「そうですね。オプションとしてはあります。理想はこのままNFLに行くことですけど、もちろんダメだった場合も考えなきゃいけない。僕が考えている道はいくつかありますが、そのひとつに大相撲もあります。ただ、選択肢は相撲だけじゃなく、いくつかのオプションのひとつとして今は考えています」
<了>
【profile】
花田秀虎(はなだ・ひでとら)
2001年10月30日生まれ、和歌山県和歌山市出身。小学2年時から相撲を始める。和歌山商高では1年時に全国高校選抜大会・個人戦で優勝。2年・3年時には世界ジュニア選手権の無差別級で2連覇を果たす。日体大に進学後の2020年、全日本相撲選手権で優勝して「アマチュア横綱」となる。大学1年での優勝は1984年の久嶋啓太(元・久島海)以来36年ぶりふたり目。日本人初NFLプレーヤーとなるべく、現在は日体大を休学してコロラド州立大でプレーしている。185cm、130kg。
著者プロフィール
永塚和志 (ながつか・かずし)
スポーツライター。前英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者。
Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、2006年世界選手権、 2019W杯等国際大会、また米NCAAトーナメントも取材。 他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験 もある。著書に「''近代フットボールの父'' チャック・ミルズが紡いだ糸」(ベースボール・マガジン社) があり、東京五輪で日本女子バスケ代表を銀メダルに導いたトム・ ホーバスHC著「ウイニングメンタリティー コーチングとは信じること」、川崎ブレイブサンダース・ 篠山竜青選手 著「日々、努力。」(ともにベースボール・マガジン社) 等の取材構成にも関わっている。
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