検索

「大の里関のポテンシャルは当時から最強」 日体大の後輩・花田秀虎が感じた「言語化できない強さ」 (2ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka

【大の里対策は徹底的にやった】

── 13場所での横綱昇進は、あまりにも速いですよね。

「やばいですよね。そこまでの予想はしてなかったですけど......いや、負けないだろうなと思っていたので、妥当じゃないですか、横綱になるのは時間の問題だと思っていました」

── 大の里関とはどういう間柄だったのですか?

「普通の『先輩・後輩』の関係ですよ。ふたりとも(日体大では)レギュラーだったし、一緒に泰輝先輩(大の里)の母校の新潟(県立)海洋高校へ合宿に行ったりもしていました」

── 学生競技だとひとつ学年が違うだけでも大きな差ですよね。

「ごく普通の体育会の先輩・後輩でしたよ。僕は先輩を立てるし、逆に先輩からはご飯をおごってもらったりしていました」

── 2022年のワールドゲームズの重量級決勝では、花田選手が大の里関を破って金メダルを獲っていますよね。

「めちゃめちゃ研究しましたよ。『中村泰輝(大の里)対策』は徹底的にやりましたから(笑)。僕も(日体大の)稽古場では手の内を見せなかったですし、たぶん彼も見せていなかったです。

 お互い警戒しているのは齋藤(一雄。日体大相撲部監督)先生もわかっていたので、あの時の稽古では、僕たちにあまり相撲を取らせなかった。決勝で当たると想定していたのでは」

── ワールドゲームズで大の里関に勝った時は、どういう気持ちでしたか? 

「僕はその試合を最後に『相撲から離れる』って思っていたんです。だから集大成というか、その試合に賭けていました。僕のアマチュアでの最後の試合、最強の相手が上がってきてくれたと思いました。だから勝てた時は、本当にうれしかったです」

── 大の里関を破るほどの実力があったのですから、そのまま角界に進んでいたら順調に昇格していたのではないなと思ってしまいます。

「いやいや、全然です(笑)」

── ふたりの対戦成績は覚えていますか?

「五分五分くらいじゃないですかね」

── 最後に勝ったのは大きいですね。

「大の里関が横綱になってくれたおかげで、僕の株も上がりました。それは感謝しています」

2 / 4

キーワード

このページのトップに戻る