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日本スカッシュ界のホープ・渡邉聡美はイギリス留学で急成長 ロス五輪で日本人初のメダル獲得も射程距離 (4ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

【五輪を目指してスカッシュ一本に専念】

── 試合数はかなり多いのですか?

「はい。プロのトーナメントだけでなく、クラブのリーグでもトップ選手たちと真剣勝負をたくさん経験できました。やっぱり試合勘は、真剣勝負でしか身につかないんです。

 たとえば、絶対に落とせない1点をどう感じ取るか、という察知能力は、イギリスの環境があったからこそ培われたものだと思います。この大学4年間は本当に大きな経験でした。大変でしたけど、イギリスの大学に進学して本当によかったと思っています」

── 今年9月に大学を無事に卒業されたそうですね。

「2020年から大学に通いながらプロ選手として活動し、この9月に無事に卒業式を迎えました。大学がひと段落したので、これからは本格的にオリンピックを目指し、スカッシュ一本に専念していこうと思っています。

 世界ランキングを維持するためには、年間で最低でも15大会はプロのトーナメントに出場する必要があります。今年は11月に岡山で開催される全日本選手権に出場する予定です。アジアでもシンガポール、マレーシア、中国などで大きな大会が5つほどあり、来年2月には香港で個人と団体の世界選手権も控えています」

── 大学を卒業してスカッシュ競技に専念することで、少しは個人的な趣味を楽しめる時間も出てくるのでは?

「今年の夏まではスカッシュと勉強だけにしか時間が取れなかったので、ほかのことに目を向ける余裕はまったくありませんでした。でも、今年から少しだけ余裕ができそうなので、今後に活かせるような趣味を見つけられたらいいですね!」

(後編につづく)

◆渡邉聡美・後編>>「12歳でマレーシアに留学して世界5位から学んだこと」

◆スカッシュ渡邉聡美フォトギャラリー>>


【profile】
渡邉聡美(わたなべ・さとみ)
1999年1月15日生まれ、神奈川県出身。8歳の時にスカッシュと出会い、12歳でマレーシアにスカッシュ留学。高校卒業後にロンドンへ留学して学業と競技をこなす。全日本スカッシュ選手権は2017年から5連覇を達成。2023年の杭州アジア大会で日本人初の銅メダルを獲得し、2024年3月には世界ランキング4位のネレ・ギリスに勝つなど、世界ランキングを13位まで伸ばす。正式種目となったロス五輪でメダル獲得を目指す。身長170cm。

著者プロフィール

  • 斉藤健仁

    斉藤健仁 (さいとう・けんじ)

    スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に『ラグビー『観戦力』が高まる』『世界のサッカーエンブレム完全解読ブック』など多数。

【写真】日本スカッシュ界のホープ・渡邉聡美(25歳)フォトギャラリー

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