日本スカッシュ界のホープ・渡邉聡美はイギリス留学で急成長 ロス五輪で日本人初のメダル獲得も射程距離 (2ページ目)
【高校卒業後にイギリス行きを決めた理由】
── 昨年10月のIOC総会でスカッシュが正式種目に決まった時は、どこで知らせを聞いたのですか?
「イギリスにいたので(日本の)スカッシュ協会には行けませんでしたが、オンラインでつながって喜びを分かち合いました。ただ、決まった瞬間は思ったよりあっさりしていて『本当に決定したのか?』と、実感がすぐには湧きませんでした(笑)。
でもその後、日々の話題にあがったり、8月のパリ五輪をテレビで見たりして『あの舞台に自分も挑戦できるんだ』と思うと、本当にワクワクしています!」
渡邉聡美は留学先のイギリスを拠点に活動中 photo by Sano Mikiこの記事に関連する写真を見る── 今夏のパリ五輪を見て、いろんな刺激を受けたのではないですか?
「漫画『ハイキュー!!』は何度も読み返したほど大好きなので、男子バレーボールはよく見ていました。(準々決勝の)イタリア戦は日本が負けてしまい、選手たちは一番悔しかったと思いますけど、試合自体は楽しかったです。あとは、柔道経験のある父と一緒に柔道を見たり、卓球やバドミントンなどテレビで放送されていたスポーツをよく見ていました」
── スカッシュ競技のオリンピック出場権を獲得するフォーマットは、まだ発表されていませんよね。
「そうですね。でもたぶん、男女ともに1カ国最大ふたりの合計32名が出場する形になると予想されています。そのなかで何人かは、世界ランキングを基準に出場できるようになると思います。
やっぱり世界ランクで出場権を確実に取るのが理想ですし、今の自分もその目標を狙えなくはない位置(世界ランキング13位)にいると思います。残り3〜4年って長いようで短いので、競技を続けるのは本当に大変ですが、追い込むところはしっかりと追い込んで、気をつけるところはちゃんと気をつけて、全力でがんばっていきたいですね!」
── ところで渡邉選手は、なぜイギリスを拠点に活動するようになったのですか?
「現在、スカッシュ界ではエジプトが世界最強国なんですが、イギリスも競技の発祥地としてトレーニング環境や基盤が整っています。大学で勉強しながらプロとしても練習できるという理由で、私はイギリスを選びました。
通っていたローハンプトン大学にスカッシュコートはありませんが、大学と提携しているクラブがウインブルドンにあり、そこにはコートが4面あります。また、大学のすぐ横にあるローハンプトンクラブには、ウインブルドンテニスの予選が行なわれる施設があり、スカッシュコートも6面あるので、そこを利用させてもらっています。
イギリスには、ジュニア時代から大会で何度も訪れていました。また、以前からお世話になっている(2009年から全日本選手権8連覇を達成した)小林海咲さんがイギリス人の方と結婚されてイギリスを拠点にしていることもあり、彼女から『スカッシュをしながら勉強もできる環境』という話も聞いていましたので」
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