検索

日本スカッシュ界のホープ・渡邉聡美はイギリス留学で急成長 ロス五輪で日本人初のメダル獲得も射程距離 (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

【ケガをしてスカッシュができなくなったら...】

── 高校卒業後、すぐにイギリスに向かったわけではない?

「はい。2017年の全日本選手権で初優勝し、ブリティッシュオープンのジュニア部門で準優勝するなど、18歳の頃から成績も上向き、ジュニアの世界ランキングでも1位になりました。

 その頃、プロ選手としてスカッシュ一本でやるかどうか、人生に迷っていたんです。イギリスの大学から奨学金をいただいて進学する話もありました。でも、スカッシュをメインで続けたい気持ちが強くて、その話は一度保留にしたのです。

 そしていざ、プロとしてがんばろうと決めた矢先の2020年春、コロナ禍が始まり......。世界中の活動がストップしてしまいました。スカッシュも大会が2年ほど開催されず、もし自分がケガをしてスカッシュができなくなったら何も残らないな......と思った時、イギリスの話を思い出し、留学を決めたんです」

── 大学ではどんな学科を受けていたのですか?

「スポーツサイエンスです。卒業論文では、プロのエリートスカッシュ選手と普通の愛好家の方との最大酸素摂取量やリカバリー力を計測し、プロ選手はどのぐらいの値が必要なのか、というデータを調べました」

── 競技と勉強との両立は大変だったのでは?

「はい、本当に大変でしたね(苦笑)。ただ、コロナ禍のおかげで授業の多くがオンラインにシフトされたことで、負担が減って意外と助かりました。でも、授業や提出物はすべて英語でやらなきゃいけないので、試験と課題に日々追われていましたね。そのおかげもあって、自分のタイムマネジメント力や英語力の底上げにはつながったかな」

── 学業と両立しながら、スカッシュではロンドンをベースに海外のプロトーナメントにも出場していたそうですね?

「ヨーロッパでは『PSA』というプロのトーナメントが頻繁にあり、クラブのリーグ戦に出ると報酬もいただけるんです。私はウインブルドンとローハンプトンの両方のクラブから出場していて、この前はフランス・ストラスブールのクラブからも出場してくれないかというオファーをいただきました」

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る