Tリーグ改革のキーマンが明かした今後のビジョン。世界トップクラスの選手が集まっていても「活用できていない」 (3ページ目)
――今後の課題はどんなことが挙げられますか。
チーム数をもっと増やしたいと私は思っています。今、若手選手が伸びてきて、底上げをしてくれていますが、Tリーグ1試合で出場できるのは4~6名です。海外の選手も在籍しているので、日本人選手に経験を積ませ、成長を促す意味でいうと、男女ともに8チーム(現男子4チーム、女子6チーム)くらいないとバランスが取れないのではないかと思っています。
それからTマーケティングは協会も50%出資している会社ですので、卓球界全体のためになる施策を行なうことが目的の一つです。週1で卓球をやっている100万人の卓球愛好家の方々へのアプローチは、協会外の仕事になっていますので、私たちが業務提携した、卓球大会の運営サポートサービスを行なう「P4MATCH」(ピーフォーマッチ)を活用しながら、その100万人の方々を組織化していたいと考えています。
――最後に、この先見据えているTリーグの将来のビジョンを教えてください。
東京五輪の卓球シングルスベスト16のうち男子は8人、女子は9人がTリーグ関係の選手だったんです。女子に至ってはベスト8のうち5人がTリーグ関係の選手で、残り3人は伊藤美誠選手と中国人の2選手だったんです。それぐらいTリーグには世界のトップクラスがそろっているんです。
その意味で言うと、世界最高のリーグがTリーグなんです。このコンテンツパワーを考えると、対抗するのは「WTT」だと私は思っています。ただTリーグのほうが、チームに所属してコンスタントに試合をすることによって、生活のベースとなる報酬をもらえるわけです。そんな理由もあって、世界トップクラスがTリーグに来てくれています。
Tリーグには次元の違う選手たちがこんなに集まっているのに、まだ活用できていない。今年から東南アジアを中心に9か国でTリーグを配信し、中国を入れて10か国となりました。この国際戦略が今後の大きな成長の鍵をにぎると思っています。
【Profile】
日下部大次郎(くさかべ・だいじろう)
同志社大学経済学部卒業。早稲田大学スポーツ科学学術院修士課程修了。日本興業銀行、みずほコーポレート銀行を経て、2005年に日本プロバスケットボールリーグの経営企画室ディレクターとしてリーグの立ち上げに関わる。その後、同リーグの東京アパッチ代表取締役、一般財団法人SS11 (競輪)事務局長、ヤマハ発動機ラグビー部アドバイザー、T.T彩たまスーパーバイザーなどを経て、19年7月にTマーケティング代表取締役社長に就任した。
Tリーグを彩る女子選手たち
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