Tリーグ改革のキーマンが明かした今後のビジョン。世界トップクラスの選手が集まっていても「活用できていない」

  • 佐藤主祥●取材 interview by Sato Kazuyoshi text by Sportiva
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao、T.LEAGUE/アフロスポーツ

伊藤美誠が初参戦したTリーグ。若手の底上げが著しい photo by T.LEAGUE/アフロスポーツ伊藤美誠が初参戦したTリーグ。若手の底上げが著しい photo by T.LEAGUE/アフロスポーツこの記事に関連する写真を見る日下部大次郎(Tマーティング社長)インタビュー 後編

 開幕から2シーズン連続で赤字となっていたTリーグ。まさに火中の栗を拾う形で、Tリーグの運営を担うTマーケティングの社長に就任したのが、日下部大次郎氏だった。これを契機に潮目が変わり、2シーズン連続で黒字化を達成。その背景には何があったのだろうか。そして卓球界、Tリーグのためにどんなビジョンを描いているのか。日下部氏に直接話を聞いた。

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――2020年初頭から新型コロナウイルスが流行しはじめ、Tリーグにも多大な影響があったと思います。そのなかで収益の維持・向上を図るためにどんな対策を講じていきましたか。

 1シーズン目も2シーズン目も興行をやればやるほど赤字を出していました。リーグ側がすべての興行を行なっていたので、運営に専念せざるを得ず、チケット販売のプロモーションに手が回っていなかったんです。

 その状況で新型コロナウイルスの感染拡大が起こりました。その前から全試合生配信を行なっていましたが、さらに3シーズン目から無観客リモートマッチに舵を切りました。これにより映像に映らないところは設えを作らないなど、徹底的にコストを下げることができ、さらに観客を入れないことにより体育館の利用料も大きく下がりました。チケット販売などの売上はもちろんありませんが、コストを下げたことで、結果的に1億円の黒字となりました。これはもう必然でした。

 それから、これはとても大きなことですが、選手のコロナ感染による試合の中止が一度もありませんでした。試合が中止になれば、映像配信元やスポンサー様から減額の要求があって当然なんです。中止がなかったのは、卓球が非接触スポーツだという理由もありますが、それ以上に、選手たちの体調管理の意識の高さが大きな理由だと思っています。

 日本の選手は世界のトップ20に何人も入っています。そんな選手たちはWADA(世界ドーピング防止機構)のトーピング抜き打ち検査の対象なんです。だから選手たちの体調管理については徹底されていたんだと思うんです。

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