鷲見玲奈が水谷隼に聞く東京五輪。丹羽孝希との異色ダブルスは「まったく違う競技を見ている感覚になる」 (3ページ目)

  • 佐藤主祥●取材・文 text by Sato Kazuyoshi
  • 佐野隆●写真 photo by Sano Takashi

鷲見 えー!?(笑)。あ、テレビ番組でも腕前を披露していた『クラッシュ・ロワイヤル』ですか?

水谷 よく知ってますね(笑)。自分で大会を開いたりもしました。張本ともお風呂でよくゲームの話をするんですよ。卓球とは関係ないプライベートのこと、オリンピックや中国選手についてなどいろいろ話すんですけど、5割はゲームの話をしています。

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鷲見 そうなんですね(笑)。張本選手がお話に出ましたけど、選手としての成長ぶりは、水谷選手の目にはどう映っていますか?

水谷 だんだんと責任感を感じてきているように見えます。最近の練習でも、みんながメニューを終えたあと、そこからさらに1時間ぐらい自主練をしていましたし。トレーニングにも必死に取り組んでいます。もう張本も高校3年生。この時期は卓球選手としても、ひとりの人間としてもすごく成長する時期だと思うので、彼もこれまで以上にしっかりと卓球と向き合っているんだなと感じます。

鷲見 頼もしいですね。張本選手は、これまで精神面のコントロールを課題に上げられることもありましたが、メンタルコントロールもうまくできている印象でしょうか。

水谷 今年に入ってからすごく上手にできていると思いますよ。代表だけじゃなくTリーグでもそうでしたが、昨年は試合で負けるとふてくされるというか、悔しさが表情にも出ていました。チームよりも、自分が負けたことに対してすごく落ち込んでしまうというか、なかなか吹っ切れずにいたんです。だけど、今年に入ってからはそういうこともなく、調子も非常にいい。3月にカタールで行なわれた国際大会もシングルスで優勝していますし、どんどん成長してきているのを感じますね。

鷲見 プレーの内容で成長しているな、と感じる点は?

水谷 昔のような攻撃的なプレースタイルに戻ってきていますね。張本が不調の時は、どうしてもプレーが守備的になってしまって、相手に打たれて守り切れないケースが多いんです。でも最近はその反省を生かして、自分から積極的に攻撃していこうと意識して試合に臨んでいるのが見て取れます。

鷲見 精神面もプレー面も、確実に進化してきているのですね。もうひとりの代表メンバー、丹羽選手についての印象も聞かせてください。

水谷 卓球への取り組み方が変わりました。丹羽はプレー面に関しては"天才肌"というか、あまり努力家に見えないプレースタイルだと思うんですが、練習ではものすごく動いているんですよ。「その動き、本当に試合でも使うのかな」と思うぐらい(笑)。試合であんなにめちゃくちゃなプレーをするのに、練習は基礎をメインでやっているのも面白いです。

鷲見 天才的なプレーをする丹羽選手ですから、基礎練習メインというのはちょっと意外でした。

水谷 昔はそうではなかったと思うんですけどね。前回のリオ五輪の直前には、何週間も練習ができなくなるぐらいストレスが溜まって、現実逃避していたこともありました。でも今回は、基礎練習を毎日みっちり行なっているので、大丈夫そうでよかったです。彼とはダブルスのペアなんですけど、すごく自分の世界を持っている選手なので、何を考えているのかをしっかり読み取ってあげなきゃいけないと思っています。

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