ハンドボールで世界へ。本場欧州で戦う
日本代表の男女2人は何者か?
「僕がフランスで競技を続けているのには理由があります。それは、僕がフランスで結果を出すことで、日本の若い選手たちに少しでも海外挑戦への希望を持ってもらうためです」
そう話すのは、男子ハンドボール日本代表の土井杏利(あんり)だ。日体大を卒業後、2013年からフランス1部リーグのシャンベリ・サヴォワ・ハンドボールでプレーし、今季は2部のシャルトル・メトロポール・ハンドボール28に移籍。2016-17シーズンには、フランスリーグ世界選抜としてオールスターにも出場した。
フランスのハンドボール2部リーグで活躍する土井杏利 去年まで4シーズン在籍していたシャンベリは、スター軍団パリ・サンジェルマンの牙城を崩せずに2位に終わるシーズンが多いものの、2001年にはリーグ王者に輝いた強豪チーム。約5000人収容の専用アリーナを持ち、選手用酸素カプセルやホットタブがロッカールームの目の前にあるなど、最先端の体のケアをできる環境が整っている。自分のことだけを考えれば、土井自身も「素晴らしい街。大好き」と語るシャンベリから離れる必要はなかったかもしれない。
土井は日体大4年時に膝を故障し、卒業後にハンドボールを続けることを諦めてフランスに渡った。そこで、奇跡的にケガが回復して競技を続けられるようになった経緯もあってか、「自分がプレーを続けられる理由」「世界を相手に戦っている意味」を、常に意識しているように感じる。
「監督が変わって、ハンドボールの考え方が違う人が指揮をすることになってしまったことは大きいですね。ケガから復帰して結果を出しているのに、出場時間がなかなかもらえませんでした」
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