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卓球・丹羽孝希「リオの銀メダルが
思ったより嬉しくなかった理由」 (4ページ目)

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro  露木聡子●写真 photo by Tsuyuki Satoko


「1−1でダブルスが回ってきた時は、さすがに緊張しましたね。第4戦の水谷さんは絶対に勝つと信じてたんで、『ここを取ったらメダル確定だ』って」

 大会前から、丹羽は吉村と話し合ってきたことがある。

「吉村くんのサーブと、僕のレシーブが武器なんで、そこで点を取っていこうという話はよくしていました。日本が勝つためには、水谷さんの2勝プラス、もう1勝が必要。僕らのシングルスよりも、ダブルスで勝つ確率の方が高いと思っていたので、合宿でもダブルスの練習をいっぱいやりました」

 丹羽、吉村ペアは、第1ゲームを11−5で奪うも、第2ゲームは接戦の末、13−15で落とす。
 
 正念場となった場面で、これまで「声を出したり、ガッツポーズで勝てるわけじゃない。そんなルールもない。人それぞれの性格もありますし、とやかく言われる筋合いはないですよね」と言い続けていた丹羽は、時折ガッツポーズを見せた。その理由は、なんだったのか?

「チームに気を使ったというか......それはありますね。少しでも盛り上がるならって。世界選手権なら団体戦のメンバーは5人ですけど、オリンピックは3人。ダブルスの試合中、水谷さんは次の試合に備え練習に行ってしまうので、後ろには監督しかいない状態なんです。近くから声援を送ってくれる仲間もいない。声を出すことやガッツポーズが僕には関係なくても、チームとして士気が上がるならばと。実際に僕が声を出すことで、雰囲気も良くなりましたね」
 
 日本は、第3、4ゲームを連取し勝利。続く第4試合で水谷が勝ち、3−1でドイツを下し、銀メダル以上を確定させた。

 だが、彼らはここで満足しなかった。決勝の中国戦、絶対王者を前にしても、日本は金メダルを本気で狙った。

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