検索

河村勇輝が経験した「バスケットをやってきたなかでワーストゲーム」 Gリーグ終盤で生まれた葛藤とその真意 (3ページ目)

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko

【「Gリーグは終わっても、僕のシーズンはまだ終わったわけではない」】

河村はそのプレーと人柄でハッスルファンの心を虜にした1年となった photo by Miyaji Yoko河村はそのプレーと人柄でハッスルファンの心を虜にした1年となった photo by Miyaji Yoko

 休まずに臨んだスパーズとの連戦2試合目、河村はまずディフェンスでチームに貢献した。

「コーチから、相手のエースプレーヤーの(マルカイ・)フリン選手を常にディナイで守るように言われて。彼もすごくいい選手なので決められたりもしましたけど、(試合後に)コーチからもディフェンスすごくよかったという評価してもらいました」と河村。

 第4クォーターには控えポイントガードがボール運びをするときに激しいディフェンスでマークし、8秒バイオレーションを取らせると、雄叫びをあげた。

 ディフェンスだけでなく、オフェンスでも数少ないチャンスを生かして3Pショットを2本決めるなど16得点をあげ、アシストも5本マークした。"ワーストゲーム"から修正して、ボールを持たなくてもチームに貢献できるところを証明してみせた試合で、スワースキーHCも試合後、「今日のユウキはシーズン全体のなかでも、特にいい試合をしていた」と称賛した。

 ハッスルのシーズンは3月29日に終了した。レギュラーシーズンの成績は15勝19敗、西カンファレンス11位に終わり、目指していたプレイオフの出場権は得られなかったが、それでも「最悪の試合」のあとに、2連勝して終えることができた。

 河村勇輝個人としては、シーズン序盤のティップオフ・トーナメントと12月下旬からのレギュラーシーズンを合わせて31試合に出場し、平均31.6分の出場時間で12.7点、8.4アシスト、3.1リバウンド。

「最後の2試合は、スタッツに表れないところにもしっかりとフォーカスして、チームの勝利に貢献するために、自分のできることを最大限やろうという思いでプレーしました。その結果がスタッツにも表れてきたと思う。 やっぱ終わり方っていうのはすごく大事ですから」

 そう言ったあとで、こう続けた。

「ただ、Gリーグは終わりましたけれど、僕のシーズンはまだ終わったわけではないので。次はGリーグで培ったものをNBAで......どのタイミングでプレーできるかわかりませんけど、プレーしたときには、その経験を生かしていければいいなとは思っています」

つづく

著者プロフィール

  • 宮地陽子

    宮地陽子 (みやじ・ようこ)

    スポーツライター。東京都出身。アメリカを拠点にNBA取材歴30年余。アメリカで活動する日本人選手やバスケットボール国際大会も取材。著書に『The Man〜 マイケル・ジョーダン・ストーリー完結編』(日本文化出版)、編書に田臥勇太著『Never Too Late 今からでも遅くない』(日本文化出版)、2023年1月発売の共著に『スラムダンク奨学生インタビュー その先の世界へ』(集英社)。

3 / 3

キーワード

このページのトップに戻る