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バスケ女子日本代表ゲインズHCの指導の基軸 「いいコミュニケーター」であるためにすべきこと (3ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka

【いいコミュニケーターとは...】

── 選手選考に関して、海外育ちで日本のパスポートを持っている選手の起用について、ゲインズHCの考えを聞かせてもらえますか?

「すでに選手の発掘は始めています。具体的な名前を挙げるのは差し控えますが、選手のひとりは日本代表活動に参加することを切望しています。ほかにも幾人か候補がいますので、今後も話し合いを継続できたらと思っています」

── 就任会見でゲインズHCは、ニューヨーク・ニックスの球団社長に就任したフィル・ジャクソン氏が指導者の道から身を引いた理由として、「選手たちとコミュニケーションを取ることができなくなったから」という話を紹介していました。ゲインズHCにとって「コミュニケーション」とはどのようなものでしょうか?

「例えを用いながら話しましょう。ここにジョン・ウッデン(UCLAを10度の全米大学王者に導いた名将)やフィル・ジャクソン、パット・ライリー、レッド・アワーバック(ボストン・セルティックスに9度のNBA王座をもたらしたHC)といった歴代の名将たちがいて、女子日本代表を通訳なしでコーチしてもらったとします。彼らのバスケットボールの知識はとてつもなく膨大で、すべてを知り尽くしています。彼らが獲得してきた優勝回数を足せば30くらいになるでしょうか。

 でも、彼らがロシア語しか話せなかったとしたら、選手やスタッフたちに指示を出しても、受け手は何を言っているかわかりません。名将たちがとてもいいことを言っているにもかかわらず。当たり前のことですが、それはコミュニケーションが取れていないからです。

 コミュニケーションとは、コーチが一方的に話を伝えるだけでは意味がありません。一方通行ではなく、双方向であるべきです。私にとっていいコミュニケーターとは、『聞くことができる人物』です。

 昔のコーチたちは、選手の言うことなど聞いていませんでした。自分のやり方以外は受けつけない、といった感じでした。しかし、時代は変わったのです。コーチも選手の話を聞く必要があります。それもコミュニケーションスキルです」

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