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バスケ女子日本代表ゲインズHCの指導の基軸 「いいコミュニケーター」であるためにすべきこと (4ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka

【日本人の血が流れている誇り】

── ゲインズHCは日本語を話しませんし、選手たちも多くは英語を理解できません。言語の壁に不安はありませんか?

「すばらしい通訳がついてくれることになっていますから、問題はありませんよ。それに私は、選手たちの多くをすでに知っていますから、『あの新しいHCは誰だ?』とはなりません。2009年以来、日本のバスケットボールに関わってきましたし、選手たちの成長も見てきました。だから問題があるとは思っていません。

 私がすべき作業は、彼女たちの話を聞きつつ、いいコミュニケーションを取ることです。もちろん、私のことをあまり知らない若い選手たちも入ってくるでしょうが、ベテランたちの手助けもあるので、徐々に私というコーチ像もわかってもらえるでしょう」

── ゲインズHCの祖母は日本人で、ご自身が「ヤスト」というミドルネームを持っていることでも、日本と深いつながりを感じます。ゲインズHCにとって、日本とはどのようなものですか?

「日本は私にとって『誇り』で、自分のなかに日本人の血が流れていることを隠したこともありません。この国のチームを率いることができるのは、実に名誉なことです。私の母は、いつも私に日本で何が起きているか、人々がどのように暮らしているか、日本の歴史などを教えてくれました。それを今でも、私は感謝しています」

── 日本に対して恩のようなものを?

「はい、間違いないです。女子日本代表のHCとなったので、今はこのチームを世界に知らしめたいですし、それこそが日本への恩返しだと思っています」

<了>


【profile】
コーリー・ゲインズ
1965年6月1日生まれ、アメリカ合衆国・ロサンゼルス出身。ロヨラ・メリーマウント大からNBAドラフト3巡目・全体65位でシアトル・スーパーソニックスに指名される。ニュージャージー・ネッツ、フィラデルフィア・76ers、デンバー・ナゲッツ、ニューヨーク・ニックスの4チームに在籍し、晩年には日本リーグのジャパンエナジーでもプレー。引退後は指導者となり、2009年にはWNBAフェニックス・マーキュリーをリーグ優勝に導く。2022年から男子日本代表のアソシエイトHCを務め、2025年3月より女子日本代表HCに就任する。現役時代のポジション=シューティングガード。

著者プロフィール

  • 永塚和志

    永塚和志 (ながつか・かずし)

    スポーツライター。前英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者。Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、2006年世界選手権、2019W杯等国際大会、また米NCAAトーナメントも取材。他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験もある。著書に「''近代フットボールの父'' チャック・ミルズが紡いだ糸」(ベースボール・マガジン社)があり、東京五輪で日本女子バスケ代表を銀メダルに導いたトム・ホーバスHC著「ウイニングメンタリティー コーチングとは信じること」、川崎ブレイブサンダース・篠山竜青選手 著「日々、努力。」(ともにベースボール・マガジン社)等の取材構成にも関わっている。

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