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バスケ日本代表「八村・河村・渡邊の不在」をどうする ホーバスHC2期目の新たなキーマンは? (3ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka

【ファイナル最優秀選手もメンバー招集】

 一方で、脇の速攻の速さや体の強さからくるフィジカルなディフェンス力には魅力がある。ホーバスHCが「もう1度見てみたい」と述べたのも、そうした要素があってのことに違いない。

「A代表はまだ早いな」。脇は当初、そう感じていたという。たしかに今はまだ粗く、不安定かもしれない。しかしそれでも呼ばれたのは、22歳の脇が研磨を重ねれば光る石となる才を感じさせるからではないか。

「呼んでもらいましたのでこのチャンスを活かし、ワールドカップやロス五輪を目指してがんばっていきたいと思っています」

 脇はそう語る。そのセリフはありふれたものかもしれないが、質問者の目をまっすぐ見ながら話す彼の静かな語り口には、強い意思が感じられた。

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 速攻でボールを運んで、コーナーにいる味方にパスを投じると、彼の放った3Pはネットを揺らした。だが、パスをしたその男はシュートがまだ宙にある間に、その軌道を見もせずに自陣へと戻り始めていた。

 今年の5月下旬に行なわれたBリーグファイナルの試合中に、中村拓人(なかむら・たくと/PG/23歳)が見せた象徴的なプレーだった。ファイナルで最優秀選手に選ばれた中村の活躍もあり、彼の所属する広島ドラゴンフライズはBリーグ初の優勝を果たした。

 中村が広島の先発PGとなったのは、エース司令塔の故障によって出番が回ってきた今ファイナルからわずか3カ月ほど前の話だった。そのつかんだチャンスをしっかりと生かし、「目標として掲げてきた」代表候補招集という形につなげた。

 脇と同様に、中村は今シーズンの成功率が25.9%と3Pに課題があり、ホーバスHCの求めるスタイルには合致していないように見える。ただ、それはあくまで表層的なもの。ホーバスHCは2Pと3Pをほぼ半々で打つことを是としており、アウトサイド系の選手ならば中に切れ込んでリングの近くからシュートを放つ、といったプレーも重視されている。

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