パリ五輪バスケ・アメリカ代表はレブロン、デュラントだけじゃない! 豪華メンバーの裏に隠されたチーム編成の狙い (2ページ目)
【1992年と2008年――今につながるふたつの原点】
今のアメリカ代表の原点となるチームがふたつある。ひとつは1992年バルセロナ五輪での元祖『ドリームチーム』。オリンピックがプロに門戸を開き、国際バスケットボール連盟(FIBA)もプロ選手の国際大会出場を解禁したあとの最初のオリンピックでのアメリカ代表チームだ。マイケル・ジョーダンやマジック・ジョンソンら、当時のスーパースター選手たちが集って結成されたチームで、圧倒的な強さで金メダルを獲得し、世界中に『ドリームチーム(Dream Team)』旋風を起こした。
もうひとつは2008年の北京五輪での『リディームチーム(Redeem Team)』。バルセロナ五輪後もオリンピックのたびに豪華メンバーでアメリカ代表が編成されたが、次第に"寄せ集めチーム色"が強くなってチーム力が低下。一方で、『ドリームチーム』に影響を受けた世界各国の実力は向上し、年々、その差が縮まり、2004年のアテネ五輪ではついにアメリカは金メダルを逃して銅メダルに終わってしまった(準決勝で優勝することになるアルゼンチンに敗退)。
そこで失われた威厳を取り戻そうと結成されたのが2008年の北京五輪代表だった。NBAを代表するベテランと若手のスーパースター選手たちが一体となって戦い、金メダルと、バスケ王国、アメリカの威信を取り戻した。この時のチームについては、のちにドキュメンタリー『リディームチーム 王座奪還への道』(ネットフリックス)が制作されており、ヒルはエンビードにアメリカ代表への理解を深めるためにも、このドキュメンタリーを見るように勧めたという。
パリ五輪のアメリカ代表に最年長39歳で選ばれたレブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)も、この『リディームチーム』の一員だった。ジェームズはその前の、銅メダルに終わったアテネ五輪のチームに19歳で入り、苦い経験もしている。その後、北京五輪、ロンドン五輪(2012年)と3大会連続で出場してふたつの金メダルを獲得。今回は12年ぶり4回目のオリンピック出場となる。
もうひとり、4回目のオリンピックとなるケビン・デュラント(フェニックス・サンズ)はロンドン五輪、リオデジャネイロ五輪(2016年)、東京五輪(2021年)で金メダルを取っている。まさに最近20年のオリンピック代表を率いてきたふたりと言ってもいい。
チーム編成の責任者・ヒルは1996年の五輪金メダルメンバーだ photo by Reuter/AFLOこの記事に関連する写真を見る
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