富樫勇樹に海外ファンが「MVP」コール 千葉ジェッツ優勝で完結したEASLに続く茨の道と希望 (4ページ目)
【EASLに感じた希望】
Bリーグは今後、NBAに次ぐ世界第2位のリーグを目指し、国際事業にも取り組んでいるものの、リーグの英語ページの拡充が遅れるなど課題が残る。そんななかで千葉がEASLで優勝したことで、彼らがBリーグのアンバサダーとなって海外でその名を知らしめ、千葉ジェッツと富樫は少なくないファンを獲得したのは間違いない。
富樫に「日本のリーグを代表して強さを証明できたか」と問うと、言葉に力を込めて、「クラブチームの国際大会で、日本のチームがこうやって結果を残せたのはBリーグの成長だと思います」と話した。
バスケットボールを楽しむことが力の源である彼にとって、海外チームとの対戦はいつもとは違う刺激や興奮を感じたようで、「日本代表で海外に行くとアウェーの雰囲気ですが、海外でこれだけホームを感じながらプレーできたのは本当に幸せでした」と微笑んだ。
現地観戦したBリーグ・島田慎二チェアマンは千葉の社長時代、その手腕でバスケットボール面でも経営面でも千葉を日本屈指の球団に育てあげた人物だ。同氏は、富樫が海外の人々から人気を獲得していることについて、「ファンを味方にしていたことも力になったはず。彼はやっぱりスペシャルで、どこに行ってもすばらしいプレーを見せてくれて本当にうれしい」と目を細めた。
現地に赴いたわれわれ日本メディアも、千葉が優勝したことでファイナルフォー終了直後は体の火照りを感じていたが、EASLの将来に対しての危惧が頭から離れたわけではない。
しかしながら、ファイナルフォーの成功や、EASLが狙う日本市場にある千葉が、富樫を含め海外にその存在をアピールした姿を目の当たりにし、その危惧が薄れる感覚を持ったのもまた事実だ。
著者プロフィール
永塚和志 (ながつか・かずし)
スポーツライター。前英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者。
Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、2006年世界選手権、 2019W杯等国際大会、また米NCAAトーナメントも取材。 他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験 もある。著書に「''近代フットボールの父'' チャック・ミルズが紡いだ糸」(ベースボール・マガジン社) があり、東京五輪で日本女子バスケ代表を銀メダルに導いたトム・ ホーバスHC著「ウイニングメンタリティー コーチングとは信じること」、川崎ブレイブサンダース・ 篠山竜青選手 著「日々、努力。」(ともにベースボール・マガジン社) 等の取材構成にも関わっている。
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